不動産トピックス

今週の一冊

2017.09.04 15:18

過熱する不動産市場に「バブル」の影を見た

今そこにあるバブル
著 者:滝田洋一
発行日:2017年8月8日
発行所:日本経済新聞出版社
価 格:850円(税別)

 80年代後半に起こった未曾有の好景気。その頂点から奈落へ転じた様は「バブル経済」と呼ばれ「昭和の末路」として語り継がれると共に。その華やかりし時代を懐古する人々は実に多い。
 一方、バブル当時の「栄華」を知る現役世代は少なくなり「氷河期世代」が働き盛りを迎える現在、「バブル経済」の恩恵に与り損ねたビジネスマンのほうが多いのではないだろうか。しかし、現在の経済状況を見れば、再び「バブル」が再燃している、と解説するのが本書であり、経済全体を俯瞰してバブル的要因をつぶさに集めている。第1章「街角を歩いてみた」、第2章「2020年東京五輪とその先」は再開発からの観点で街の変化を捉えた、不動産業界におけるバブル的事象が網羅されており、業界関係者には馴染みの出来事も多い。確かに不動産投資における行き過ぎた融資実態に警鐘を鳴らすメディアも増えつつあり、不動産市場の過熱感と対象に、少子高齢化による不動産自体の需要減が想定される現状では「需要が見込めないのに建物ばかり作っている」と危惧する声も少なくない。こうした状況は果たして「バブル」といえるのか。本書の役割は過去の教訓と現在の経済動向を踏まえて実態がわかりにくい「バブル」を解説することに主眼を置いている。果たして現状が「バブル」かどうかは読んでみれば分かるはずだ。

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