不動産トピックス

今週の一冊

2017.04.24 15:54

テナントの出店戦略からビル経営を考察

すごい立地戦略 街は、ビジネスヒントの宝庫だった
著 者:榎本篤史
発行日:2017年3月31日
発行所:PHP研究所
価 格:870円(税別)

 ビルの1階が飲食店や物販店というケースは多い。いわばビルの「顔」ともいうべき路面店もどんなテナントを誘致するか、オーナーとしては創意工夫のしどころだ。テナントの食事を考えるなら飲食店やコンビニ。ビルの見た目を重視するならオシャレなカフェ、打ち合わせにも使える。煙が出る重飲食は遠慮したい。このように思案するオーナーは少なくないはずだが、希望通りにことが運ぶわけではない。コンビニやカフェチェーン店など、大手であればあるほど綿密な戦略に則って出店しているためだ。
 かつて本紙では有名店舗の店舗開発戦略について特集企画を組もうと試みたが、「ノウハウの流出に繋がるのでご遠慮します」とガードが固かった。一方、本書では大手コンビニをはじめ、有名カフェチェーンや飲食店、美容院、クリーニング店、果てはコインパーキングまで、多種多様な企業の出店戦略を解説している。特にコンビニの出店戦略は奥が深い。綿密なマーケティング調査を経て出店しても、少しでも集客が見込めそうな場所があればすぐに移転する。「場所は捨ててもエリアは捨てない」というルールがあり、出店場所の変更は頻繁だというのだ。こうしたテナント(店舗)側の考えが本書には凝縮されており、ビルオーナーとしてもテナントが何を考えているのかを知ることができる。リーシングのヒントになるだろう。

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