不動産トピックス

クローズアップ IoT編

2016.12.19 11:45

 昨今ではIoTを利用したサービスが増加。時代が進むにつれて技術も大きく進化していることが分かる。今回は魅力的なIoTを利用したサービスを提供している企業を紹介する。不動産にもIoTの利用の波が押し寄せており、参考になるのではないか。

エスキュービズム 簡単にシステムを作成することが可能となる製品
 昨今のIT技術の進化によって、ビジネスモデルが変化し続けている。不動産においてもシェアオフィスや民泊、貸し会議室のようなシェアリングエコノミーによって、収益を得るオーナーや事業者が増加している。また、IoT(モノのインターネット化)活用も進んでおり、スマホで簡単に予約や決済ができたり、ドアや宅配ボックスをスマホで解錠できたりと、ますます便利になってきている。一方で、そうしたシステムを構築するためには、コストや時間が必要となる。
 エスキュービズム(東京都港区)は、低コストかつ短期間でIoTを導入できる「Orange IoT」というプラットフォームの提供を開始した。「Orange IoT」は、顧客管理や予約管理、課金管理などを予め実装しているため、新たにシステムを開発する費用を削減することができる。
 同社の薮崎敬祐代表は、「『Orange IoT』は建物で例えるなら、鉄骨を組んで外壁材を用意している状態です。空室検索や予約管理などのシステムは単体では意味がなくそれらを連携させなければなりません。全てを一体化した管理システムを一から構築するには数百万円~数千万単位のコストが必要となり、構築期間も数カ月から年単位と非常に手間もかかります。『Orange IoT』を利用することによって、ある程度コストを削減でき、非常に短期間で必要なシステムを作製することが可能となります」と話す。
 事例としては三井不動産リアルティ(東京都千代田区)が運営管理している三井のリパークの予約サービス「toppi!(トッピ!)」に2カ月前に導入され、その他にも駐車場の運営している企業からの引き合いが多いという。不動産においてはスマートロックや管理システムに効果を発揮する。「システムの構築が早かったことで、三井のリパークさんからはお褒めの言葉を頂きました。ITはスピードが重要で、1年経過するだけで時代遅れになってしまうこともあります。『Orange IoT』を利用して迅速に導入することによって、コスト面もおさえることができます」と話す。
 また、同社では電子錠や電子ロッカーも扱っており、システムから現物までをワンストップで提案することができる。
 薮崎氏は「当社の強みはITのみならず、家電メーカーとしてTVや冷蔵庫などの製品を製造しています。そのため、ハードとソフトの両方に対応できます。例えばシェアハウスで利用できる電子錠を導入しようと考えた場合に、IT業者では鍵や錠を取り付けることはできません。一方で鍵のメーカーだとソフト面に対応できません。2社に依頼するためにコストと手間がかかります。顧客の要望に合わせながら、満足度の高い提案を行うことが可能です」と話す。同社では今後、施設における人件費削減や顧客満足度向上のための提案を行っていく。

ダイキン工業/日本電気 AI・IoTを利用した制御システム研究開始
 ダイキン工業(大阪市北区)と日本電気(東京都港区)はダイキン工業の持つ「空気を最適にコントロールする技術」と「空気・空間が人に与える影響に関する知見」をもとに、NECの持つ先進のAI・IoT技術で空調をはじめとした設備を高度に制御することで、知的生産性の高い空気・空間を実現するための共同研究に取り組むことを合意した。
 近年では働きかた改革などのオフィス等で知的生産性向上に向けての取り組みが盛んに行われている。
 その中で最新のAIやIoT技術を活用することにより高度な空調・照明の制御技術や人の快適度の測定などの研究開発が進められている。 一方で空間や空気そのものの状態とそれらが人に与える影響・因果関係などは不明確な領域も多く、知的生産性を高めるソリューションの実現に向けてこれらの分析が必要となっている。そのため、空調機器を中心とした空気制御の分野で高い技術を保有しているダイキン工業と個人認証技術や予測制御技術など、さまざまな独自のAI技術やIoT関連技術を保有しているNECが共同することによって、現場に即した具体的なソリューション開発を行おうというもの。
 研究内容はモニタリング情報に基づきながらAI技術で室内の温湿度を学習・予測し、空調や照明・その他オフィス設備を最適な状態に自動制御やストレス、心理要素の見える化などの研究を行っていくなど、個々のオフィスワーカーの業務内容に適した環境を作り出していく研究を進めていく見通し。
 働き方が変化していっている状況の中で、両社の研究により、生産性が向上する製品やサービスの登場に期待を持ちたい。 

京セラコミュニケーションシステム IoTネットワークのサービス展開
 京セラコミュニケーションシステム(京都市伏見区)はフランスのSIGFOX S.A.が提供するIoTネットワーク「SIGFOX(シグフォックス)」を日本で展開し、平成29年2月から順次サービスを開始する。 
 SIGFOXはIoTのネットワークで、低価格・省電力・長距離伝送が特長であり、京セラコミュニケーションシステムは「ICT事業」において、クラウドやセキュリティなどさまざまなICTソリューションを提供している。京セラコミュニケーションシステムの技術を融合させることによって、日本で「SIGFOX」を展開させていく。
 既に欧米を中心に24カ国で展開。平成30年までに60カ国に増加する予定。主にセンサーをターゲットに水道・ガス・電気などの社会インフラ、AED・空調等の設備、健康管理・見守りなどのヘルスケア、物流、農業など様々な分野におけるIoT導入を支援していく。
 同社はSIGFOXを日本で広げ、あらゆるものをネットワークにつなぐ手助けによって安全で快適な社会の創造に貢献していくとしている。

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