不動産トピックス

第2回ビル経営アワードノミネート物件紹介

2016.07.11 17:56

ノミネートNo.5
TERASOMAビル
一丸

所在地:大阪府大阪市中央区高麗橋4-5-12
建物規模:地上7階地下1階
所有者:一丸
竣工:昭和48年

 「TERASOMAビル」は地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」駅より徒歩3分、四ツ橋線「肥後橋」駅より徒歩2分の場所に立地。昭和48年竣工のビルだが、現在は満室稼働中。しかし、一丸の取締役である寺杣直子氏が同ビルの管理運営に携わるようになった平成21年の段階では空室が目立つ状態だった。そうした状況を改善するために、同年にリノベーションを実施した。
 寺杣氏がまず行ったのは、ビルへの率直な意見を集めること。来館者や出入りの業者などにヒアリングを行ったところ、「暗い」、「ぱっとしない」、「入りにくい」という印象を抱かれていることを把握した。それらマイナスのイメージを取り払い、綺麗で明るい雰囲気に改めようと方針を定めたうえで参考となる物件を探して他のビルを観察していたところ、理想とするイメージに合致するビルに出会う。そこで事情を話して設計者を紹介してもらい、リノベーションを実施した。
 立ち寄ってみたいと思われるビルにするために特に力を入れて改修したエントランスは「高級感を出しつつシンプルで上質なものを」という要望のもとデザインが行われており、エントランスは大理石張りにして不便な段差は廃してゆるやかなスロープに改められている。
 この時リノベーションにかかった施工費用はエントランスに加えてトイレや給湯室、共用部なども合わせると1700万円ほど、加えて設計監理費用が約350万円。工事の期間はおよそ1カ月半。
 リノベーション完了後、以前の状況を知っている人からは「見違えた」と言われるようになり契約も決まりやすくなり現在の入居率100%の原動力となった。
 「ビル経営を行ううえで大きな投資の判断を迫られる場面もありますが、このリノベーションは今の満室という結果をみるとやって良かったと思っています」と寺杣氏は振り返る。

〇改修ポイント
参考になる改修事例を足で探し、エントランスを明るく入りやすい雰囲気に改めた

〇投資費用
施工:1700万円
設計監理:350万円

〇工期
1カ月半

ノミネートNo.6
銀座ビル
銀座茶房

所在地:埼玉県さいたま市大宮区宮町1-5

建物規模:地上9階地下1階

延床面積:1,875㎡

所有者:銀座茶房

竣工:昭和49年  昭和49年に竣工した「銀座ビル」は、埼玉県の「大宮」駅から徒歩3分の商店街内に立地している。駅から近くまた、商店街の通り沿いにあることから非常に利便性が高い。リニューアルを行ったのはビルの7階フロア。
 栗原氏は「『大宮』駅周辺エリアで20坪~40坪くらいの店舗ニーズが多い中、当社ビルではフロアの専有面積はおよそ70坪。入居しているテナントも店舗物件が多かったのですが、エリア内のニーズとマッチングしにくく、数年前はビルの半分ほどが空室になっていました。フロアを分割して貸し出すことも検討しました」と当時を振り返る。
 転機となったのは現在、同ビルでコワーキングスペースを運営しているコミュニティコム(さいたま市大宮区)代表取締役の星野邦敏氏との出会い。平成23年に起きた東日本大震災後、池袋や大宮、柏などでコワーキングスペース運営事業のできる場所を探していた星野氏はSNSがきっかけで栗原氏と出会い、わずか4カ月で開業までに至った。
 特徴的なのは梁などの躯体がむき出しのいわゆる「スケルトン」に近い形でフロアを活用している点にある。
 「『銀座ビル』の天井高は築年数が経っているということもあり全高がおよそ2400mmとあまり高くありませんでした。ですが、設計の際に階段を設置し、中二階のように少し高い場所を設けてみようと考えて、天井を高くするために試しにその部分だけスケルトン状態にしてみました。見た目としても非常に印象的なものになったのでフロア全部をスケルトン状態にしました」と栗原氏は話す。
 業態としても大宮周辺エリアではとても珍しく、またデザインも他にはないイメージとなった。日常にはないコワーキングスペースの設計はオーナー自身の「遊び心」からできあがったもので評判も上々だ。

〇改修ポイント
フロア全体をスケルトン状態にし、天井を高くするとともに見た目にインパクトを与えた

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