不動産トピックス

クローズアップ ウェブサービス編

2016.01.04 10:19

 「金融」と「IT」の融合によって新たなサービスを展開する「フィンテック」が注目がされているが、不動産業界でもITを活用した斬新なサービスが誕生している。かつては「IT化とは最も遠い業界」等と揶揄されていたが、平成17年頃から不動産投資サイトが登場。今では内覧もウェブ上で行えるようになり、ウェブサービスの革新はとどまることを知らない。

不動産業界に特化したM&A情報サイト開設 後継者に悩むビルオーナーの出口戦略に
 不動産関連の見積り比較サイト「スマイスター」を運営するシースタイル(東京都中央区)は先月15日、M&A仲介事業を手掛けるインクグロウ(東京都中央区)と業務提携し、不動産業界専門のM&A相談窓口「スマイスター不動産業界M&A」を開設した。
 「スマイスター」は不動産売却、任意売却、不動産買取、土地活用/資産活用、賃貸管理/リロケーション、マンション管理/大規模修繕工事、ビル管理、不動産投資等の複数の不動産会社に無料で一括問い合せをすることができ、ユーザーは不動産会社の提供するサービスと価格を手軽に比較することが可能だ。延べ1000社以上の不動産・住宅関連企業がサイトを利用している。
「ニッチ」なジャンルに特化したコンテンツを取り揃えているが、シースタイルの代表取締役、川合大無氏は「スマイスター不動産業界M&A」を開始した理由について「不動産業界におけるM&Aという手法はまだまだ認知されておらず、事業承継に悩む方々へM&Aのメリットを周知していきたい」としている。
 サービスの具体的な内容はウェブ上での情報発信がメーン。不動産業界の最新動向をはじめ、M&A関連ニュースを提供し、M&Aにおけるメリット・デメリット等にも言及する。
 提携先であるインクグロウは金融機関の支援事業を展開し、約120の地銀・信金と提携して融資先企業中心に支援を行っている。飲食店向けのM&Aの啓蒙・支援活動をいち早く開始し、今回の提携で不動産業界へのM&Aサポート事業を強化することになる。
 インクグロウの照井久雄氏によると「M&Aはネットサービスとの親和性が高い。経営者は事業承継における相談相手がおらず、インターネットで情報収集し、サイトを閲覧して問い合わせするケースが非常に多い」と指摘。後継者不在で悩むビルメン会社やビルオーナーも潜在的に多く、こうした企業の受け皿になっているのが現状だ。
 「不動産業界におけるM&A市場は空前の売り手市場。売上が数字で把握できる管理会社や不動産保有会社、地域密着型の仲介会社に一定の人気があり、大手デベロッパーはM&Aに積極的。特に地方の建設会社が人気で、人手不足で職人を囲い込む等の狙いがある」(照井氏)
 サイト上では情報発信がメーンだが、相談も受け付けており、具体的なサポートも完全成功報酬制で行っている。事業承継に悩むビルオーナーにとって、ビルを売却するよりも株式譲渡のほうが税制面でメリットが大きい。出口戦略の一環として注視したい。

360度動画によるオンライン内覧サービス 中古リノベーション住宅特化のオンラインマーケット「cowcamo」
 ツクルバ(東京都渋谷区)が運営する「cowcamo(カウカモ)」は昨年6月に正式リリースされた、中古リノベーション住宅特化のオンラインマーケット。テクノロジーを活用した不動産との新しい出会い方を追求するべく、先月22日よりスマートフォンのジャイロ機能と連動した360度動画によって、より身体感覚とリンクしたバーチャル内覧コンテンツを開始した。
 同社によると「日本の既存住宅流通シェアは新築を合わせた全体のうち14・7%であり、欧米諸国と比較して住宅購入のニーズは新築に偏っている。今後増加し続ける中古マンションをはじめとする既存住宅の活用が課題になっている」と説明する。このような時代背景に合わせ、リフォームやリノベーションを行った既存住宅は年々増えているが、それらの物件が流通するための適切な仕組みはまだ確立されていないのが現状。既存住宅を検索するには駅からの距離や広さ、築年数など、物件のスペックから検索することがスタンダードになっており、物件を定量的な基準で判断することがこれまでの常識だった。
 こうした中「cowcamo」は物件の定性的な特徴までを丁寧に掘り下げ、一点ものの既存住宅の魅力を多くのお客様へ伝えることで、日本の住環境に住み継ぐ文化をつくることをミッションとする。「バーチャル内覧コンテンツ」をはじめ、更なる利便性を追求していく。


不動産の地図情報サイト「I・P-Map」 地価情報・投資物件情報を無料にて地図で確認・集計
 谷澤総合鑑定所(大阪市北区)は先月21日、創立50周年を間近に控えた周年コンテンツとして、地図を活用した地価情報等とそれらを集計する機能を広く無料にて提供する地図情報サイト「I・P―Map(Index Partner Map)」を公開した。
 平成19年10月に提供された老舗地図情報サイト「e―PRAGA」のリニューアル(完全無料)版で、各場面での印刷機能等も強化。一般ユーザーから不動産関連の専門家まで幅広く利用できる。提供される情報は地価公示をはじめ、地価調査、REIT物件取引情報など。都道府県・用途別で検索でき、平均価格や変動率等を集計、さらに最寄り情報を抽出し、地図を利用したレポート作成まで対応。面積・距離概則機能もある。
 今後は表示する情報(人口・小学校校区等)・機能を充実させ、サービスの拡充を図っていくという。

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