不動産トピックス

クローズアップ 雨水活用編

2015.07.20 16:11

 雨は誰の上にも降ってくる。近年では貴重な資源として国内でも評価が高まりつつある。昨年には「雨水利用推進法」も制定・施行され、雨水活用は今後さらに注目されていくと考えられる。今回はビルへの導入に適した高性能な雨水タンク、及び雨水活用に役立つ製品を紹介する。

風大地プロダクツ 国産木材の温かみをもつ雨水タンク
 水道水は飲料水としての衛生を保つため、莫大な手間とコストがかけられている。しかし、ビル内のトイレなどに使用する雑用水には、必ずしもそこまでの衛生は必要ではない。
 雨水を活用する製品の開発・製版を行う風大地プロダクツ(東京都足立区)では国産杉を使用した、アウトテリアとしても美しい外観を持つ雨水タンク「雨びつ」を販売している。「雨びつ」の木材には植物由来の防腐剤が圧縮注入されており、屋外での使用に耐えられるように設計されている。また、木材のため加工が簡単であり、設置したい場所、必要な容量に合わせて希望に沿った雨水タンクを作成・導入することもできる。
 一般的な雨水タンクと同様に「雨びつ」も屋根のある部分より低い位置であれば、雨どいなどに雨水集水器を取り付けることでどこでも雨を蓄えることができる。溜めている間にチリやゴミは下部に沈下分離させることができるため、上澄みのきれいな雨水を様々な用途に利用できる。溜めた水はトイレ用水として、あるいは屋上緑化を施しているビルでは植物への散水や、暑さ対策としての打ち水など様々な用途に活用が可能だ。
 また、非常用水としても活躍する。
 災害時に断水が長引けば水の確保に苦労する。現在では多くの地域の水道局で「直結増圧式給水」を推進しており、受水槽や高架水槽が不要というメリットの反面、断水に弱くなっている。「雨びつ」に水を溜めておくことで雑用水の確保が容易となり、非常用浄水器などを使用すれば飲用にすることもできる。「雨びつ」の設置は災害への備え、つまりBCP対策としても役立つ。  さらに、木材の暖かみを持つ「雨びつ」であれば景観を損うことがない。気になるようであれば塗装も自由に行う事が出来るため、設置場所に合わせた外観にすることも容易となっている。
 同社の代表取締役である芝桃子氏は「雨水活用は太陽光に次いで普及の可能性が残っています。今後は都市部の狭いスペースを活用できる奥行き30cmほどの雨水タンク『雨びつウォール』など新商品の展開も考えています」と、雨水活用の普及に尽力する姿勢を示している。


A&AT 日本政府の人道支援物資備蓄品となった唯一の浄水器 汚れた水から手動で飲料水を作り出す
 A&AT(群馬県桐生市)では様々な水質保全装置、浄水器、雨水利用装置などを開発・販売している。同社の販売する「レスキューアクア911」は日本政府の人道支援物資備蓄品となった唯一の浄水器である。
 「レスキューアクア911」は逆浸透膜浄水システムという、0・1ナノメートルの微細な穴を持つ高分子膜に加圧原水を透過させるテクノロジーによって、細菌や大腸菌、ウィルスやその他有害な化学物質を除去し、多くの原水を飲用にすることが可能な浄水器となっている。
 飲用水確保が困難な状況での使用が想定されており、河川や風呂水、あるいはさらに汚れた水からも、手動による簡単な操作で浄水を行うことで飲用水を作りだすことができる。天然の蒸留水である雨水であればさらに不純物が少ないため、より飲用に適した水を確保することが可能だ。浄水力も高く、2Lの飲用水を約5分で生産でき、一日をかければ600Lの水を浄水することができる。さらに1週間程度の連続使用も可能となっている。
 携行が可能な商品であり、有事の際には場所を問わず活躍する。雨水タンクなどによる原水確保と併せて備えておくことで、万が一の事態であっても飲用水に困ることは無くなる。BCP対策として活躍する製品となっている。


平城商事 たたんでしまえる折り畳み式雨水タンク
 平城商事(福岡県久留米市)では、雨水タンクの内部の水が凍結しかねない冬季や、その他の不要な時には取り外してしまう事が簡単な折り畳み式の雨水タンクを販売している。
 同製品には一般家庭向けの「イージータンク」、事業者向けの「ハンディタンク」があり、どちらも救命ボートなどに使われる耐久性に優れた素材である強化PVC(マリングレード塩化ビニール)を使用している。ポリエステルメッシュの両端を強化PVCで挟んだ3層構造を成したタンクは擦過傷や切り傷もつきにくい、高い耐久性を誇る。
 「イージータンク」では200L、300L、600Lの3種の容量、「ハンディタンク」では1000Lの容量1種があり、用途に応じて適切なサイズのタンクを選ぶことができる。組立、取り付けは簡単で、DIY感覚で一人で行う事が可能。雨どいの近くに設置し、オプションとして附属している取水装置を使用・接続することで雨水を蓄えることができる。上部にはメッシュの蓋を付けることでゴミや虫の浸入の心配もない。排水口も2つついており、場合によっては複数のタンクを接続しての運用も可能となっている。溜めた雨水はもちろん様々な用途の雑用水として使用が可能だ。折り畳み式であるため扱いやすいのが一番の特徴。タンクの転倒や変形には気を付けなければならないが、「ハンディタンク」にはスチール製の格子も付いており保持にも配慮されている。

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