不動産トピックス

クローズアップ 避難誘導商品編

2014.07.14 10:28

 昨今はBCP対応などの観点から、非常時に備えてビル内に備蓄品を用意するビルも増えてきた。ビルの防災アイテムは備蓄品以外にも多くの商材が取り扱われている。今回は避難時の二次災害等を防ぎ、ビルの防災能力を上げる役割を持つ避難誘導を行う商品にクローズアップしていく。

 創業以来プラスチック素材を加工し製品開発を行っているタキロン(大阪府大阪市)。高い加工、成形技術によって作り出された製品は、業界の枠を超え様々な場所で活躍している。
 昨年から蓄光材を採用したタキロン独自の防災商品開発を始めており、今まで6アイテムの製品を開発している。
 「蓄光材は太陽光の紫外線を浴びることで持続的に光を放つ素材です。いつ起こるか分からない災害に対策する必要があるため長時間光る蓄光材が必要とされてきましたが、これまでの蓄光材は太陽が沈んだ明け方まで効果が持続しないといわれていました。しかし同社の蓄光製品は12時間発光が可能となっています」(防災レジリエンスBU開発担当 江口 真理子氏)
 今年6月に発売を開始した施工場所を問わない「ルミセーフフレックス」は今まで使用できなかった手すりにも設置することが可能になっている。
 「柔らかいプラスチック製の『ルミセーフフレックス』はハサミで切ることができ使用する場所にあった大きさを創り出せます。また張るだけで効果を発揮するため施工主が自ら設置することができ、工事や余分な手間や費用がかかりません。階段段鼻部や手すりや壁面、通路の曲がり角に貼れるので災害時に安心して避難することができます」(江口氏)
 また昨年10月より発売している「ルミセーフステップ」は津波避難タワー・屋外避難階段をはじめとした多くの建物からの引き合いが強くなっている。 
 「万が一の際、遠くから見ても階段の位置が分かる、暗闇での段差がはっきりと分かる、滑りにくいという3つの特徴をもち、テープ素材と異なり防水性をもっているため屋外でも使用可能です」(江口氏)
 室内外を問わず使用できる避難誘導商品をテーマに開発を行っているタキロン。蓄光材が避難誘導に最適だということを多くのオーナーに知ってもらい、室外でも使用してもらうため今後もより優れた商品の開発に取り組んでいくということだ。

 エルティーアイ(京都市右京区)は太陽光や蛍光灯、白色系LEDの光を溜め、暗闇で長時間発光する蓄光式避難誘導製品を展開している。同社が開発する高輝度蓄光式誘導標識「α-FLASH(アルファ・フラッシュ)」シリーズはステッカータイプで、消防法の最高基準S50級にも認定されている。本製品は施工が簡単で、貼り付けるだけで万が一の停電や災害に備えることができる。
 「世界トップクラスの明るさと長時間残光、施工性の良さが最大の特長である当製品は、取り付けが簡単なだけでなく電気式の避難誘導灯に必要な電気代、バッテリーや電球代、それらの交換費用を削減できます。そのためマンションや商業施設、オフィスビルなど様々な場所で採用されており、去年には大手コンビニチェーン店セブン-イレブン約1万店舗に導入されました。総床面積が5万㎡を超える大型施設には60分以上の避難誘導が消防法で義務付けられ、60分バッテリー式の非常照明器具設置の代わりに『α-FLASH』の増設が認められているため、ビルオーナー様、マンション管理組合等に安価で法令対応が可能だとご好評を頂いております。(東京営業所 所長 坂部 直基氏)
 同社が展開する製品は災害時に活躍するだけでなく、警備ステッカーや立入り禁止のマークなど注意喚起にも役立っている。また建物の景観にあったデザインや企業のロゴマークを入れることができ依頼主の要望に合った商品を提案できることも強み。  「長時間発光のテープタイプは国土交通省、総務省消防庁、海外でも採用されており、年々導入件数が増えています」(坂部氏)
 現在、多くの建物で省エネ化が進みLED照明が採用されている。
 「『α-FLASH』は白色系LED照明でも十分に蓄光が可能なため、LED照明との組み合わせで導入をされるユーザーが主流です。耐水性、耐燃性などJIS規格に基づいた様々な試験もクリアしているため、災害時に一人でも多くの方を助けることができると思います。今後も多くの場所に導入されるよう、より良い製品を開発していきたいです」(坂部氏)

 蓄光性を有する表示板・標識・印刷物等の製品の開発や販売などを行い、安全な社会、安心できる社会の創造を目指すT.B.プランニング(東京都渋谷区)は高輝度・長残光、耐久性に優れた重歩行用安全タイルを発売している。同製品は暗闇で危険な階段などで発光し、足元が分かり易く安全な避難誘導の手助けとなる。
 重歩行用安全タイルは蓄光焼成仕上げの商品であり、耐水性・耐候性にも優れ、屋外でも全く問題なく使用することができることから病院や公園、公共施設などの避難誘導・安全対策への導入を主に目指している。昼間でも段差が見やすい黄色顔料をブレンドしたタイプもラインアップされ昼夜問わず活用の幅も広げている。同社は蓄光製品などの販売を通して、今後も災害時の備えや防災のサポートする。

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