不動産トピックス

今週の一冊

2012.07.23 17:36

「スマートコミュニティ」がよく分かる入門書

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいスマートコミュニティの本
編著者:新エネルギー産業技術総合開発機構
出 版:日刊工業新聞
発 行:平成24年6月15日
価 格:1400円(税抜)

 東日本震災によって電力不足問題が露呈し、エネルギー管理の重要性が増している。そんな中、注目が集まっているのがスマートコミュニティ構想だ。しかし、その内容についてどの程度まで理解されているのかはなはだ疑問である。例えば、似たような言葉に「スマートシティ」「スマートグリッド」があるが、その違いとは。本書はこうした基本事項から出発し、スマートコミュニティがもたらす将来的な展望まで紹介している。タイトルと表紙から判断すると、非常に親しみやすく、スマートコミュニティの意義、関連技術についてテーマ別に1~6章に分け、平易な文章で解説しており、入門書として非常に読みやすくまとめられている。
 スマートコミュニティとは端的に言えば、再生可能エネルギーを大量導入し、災害に強い街づくりを進めること。情報通信技術を活用し、交通システム、一般家庭、工場、むろんオフィスビルも含まれるが、地域単位で環境に考慮したスマート化の実現を目指すものである。現在、このスマートコミュニティのコンセプトを導入した不動産開発が日本各地で実証実験的に行われているのは、そこに新たなビジネスチャンスが眠っているからだ。大震災以降の電力不足からスマートコミュニティへの期待が高まり、将来的には電力不足の心配のない「スマートビル」がテナントに求められることになるだろう。ビル経営の一歩先を考えるツールとして本書は役立つはずである。

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