不動産トピックス

クローズアップ 緊急用備品編

2012.04.09 11:13

 ビルにとって最大の脅威となる様々な災害。最期までビルを守るのも、在館者を安全に避難させるのもオーナーの務めだ。日頃からあらゆる事態を想定し、有事に備えたい。今回はいざというときに役立つ緊急用の備品を紹介する。

リスクコントロール ビルからの脱出はパラシュートで
 ビルからの避難が必要となった際、真っ先に思い浮かぶのは非常口。しかし現実の災害では、必ずしも避難路が確保されているとは限らない。炎によって、あるいは倒壊によって避難路が塞がれるといった状況は充分考えられる。大切なのは、こうした状況にいかに備えるかである。
 リスクコントロール(東京都調布市)が展開する「高層ビル緊急脱出用パラシュートシステム」は、高層ビルからパラシュートを用いて避難を図ろうというもの。軍事技術を転用し、高層ビルの窓を脱出口に変える製品だ。
 最低使用高度は約31m。脱出までのプロセスは、まずビルの構造を把握することから。前述のとおり最低使用高度は31mだが、これはパラシュートが開くのに必要な高さ。脱出口の真下に張り出しがあったり、上層部がセットバックしている構造のビルなどでは地上から31m以上でも使用できない場合がある。この条件がクリアできていることを確認したらパラシュートを装着し、スタティック・ライン(ワイヤー)を柱などに固定。そのまま飛び出せばパラシュートが引き出されて開き、地上へ降下できる。
 パラシュートは一人用で、最大荷重は136kgまで。あくまでビルなどからの脱出専用で、実際に使用できるのは1回のみ。また3年ごとに販売元でのメンテナンスが必要となっている。
 同社代表で世界的なスカイダイバーでもある伊藤慎一氏は「パラシュートは最後の手段ですが、ビルからの脱出の新たな選択肢として考えていただければ」と話している。

倉本産業 あらゆる使い方可能な耐火毛布
 倉本産業(東京都豊島区)が販売する「アルフ耐火シートKA‐500」は、耐熱・耐炎性をもったブランケット(毛布)。アラミド繊維やカーボンなどの4層構造により優れた難燃性と耐久性を発揮し、火災時の炎や火花、輻射熱などから人体や機器を防護する。
 サイズは約150×150cmの正方形。毛布のように軽量かつ薄いため、様々な用途に使用できる。炎の上から掛けて火を消す消火布としての使用のほか、要救助者を包んで火中からの救助に、また火の付いたカーペットの上から掛ければ脱出路も確保できる。可燃性のものに掛けておけば火が燃え移ることもない。
 見た目や質感はほぼ厚手の毛布。折りたたんだり包んだりすることも可能で、水に濡らして使用すればさらに性能は向上する。付属の専用バッグは取っ手が付き、持ち運びにも便利な形状。側面に付けられているマジックテープをはがすだけで、いざという時にもすぐに耐火シートを取り出すことができる。
 経年劣化もしないため、保管に気を遣うこともない。オフィスはもちろん、消火器の泡や粉末の飛散が敬遠される厨房などの消火用としても適しており、ビル全体で使用できる製品だ。
 「用途、使用場所を選ばず使用できる製品です。使用期限もなくメンテナンスも不要で、保管に気をつかうこともありません。身近に置いておくだけでいざという時に役立つ製品です」(同社アルフ事業部・太田正文氏)

防災備蓄センター 災害時、必ず発生するトイレ問題を解決
 防災備蓄センター(東京都中央区)が展開する「エマージェンシートイレキット」は、大規模災害などによる断水時でもトイレを清潔に使用できるキットだ。
 これまでの経験から、大規模な災害が発生した際には救援物資が手元に届くまで、あるいは水道などのライフラインが復旧するまでおおむね2~3日かかるとされている。ビルにおいても、BCPという観点から数日間は自活可能な備蓄が求められており、水や食料、医薬品といった物品の備蓄をすすめるビルも少なくない。その一方、東日本大震災発生時にも注目され、新たな問題としてクローズアップされつつあるのが災害時のトイレ問題だ。「エマージェンシートイレキット」は、これまで必要不可欠とされていながら従来の備蓄品では対応していなかったトイレ問題の解決を可能にした製品だ。
 キットは3日間、2名で使用することを想定した内容で、全8アイテムが梱包されている。ティッシュペーパー方式で取り出せるトイレ袋、し尿をゼリー状に固める凝固剤ボトル、トイレットペーパー、ダイナモライト、手指消毒用除菌ジェル、生理用品、ゴミ箱、消臭スプレーをセットにした。使用方法も簡便で、まず電池不要のダイナモライトで明かりを確保。トイレ袋を便座に被せて用を足した後、凝固剤をふりかけてし尿を固め、固まったらトイレ袋ごとゴミ箱に廃棄する。除菌ジェルで手を消毒し、消臭スプレーを噴霧して完了。
 災害時のトイレ問題は衛生環境に直結する。同社事業推進部の野崎一郎部長は「トイレ問題は災害時に必ず起こります。安全が確保されていてもトイレが使えない『トイレ難民』にならないために、備えていただきたい」と話し、その必要性を訴えている。

レスキュープラス 初期消火・避難用ガスマスク
 火災が発生した際、最も危険なのは炎ではなく有毒ガスなどによる呼吸困難。建物火災による死亡者の8割が実は窒息によるもので、ある意味では、火災から身を守ることはいかに呼吸を確保するかと同義といって過言ではない。
 レスキュープラス(茨城県鹿嶋市)の防毒・防煙マスク「スモークブロック」は、3層構造の徐毒システムをもつ本格的ガスマスクだ。2500ppmという高濃度の一酸化炭素中における使用可能時間は20分。これは国内最長時間だが、実際の火災では常に2500ppmという濃度ではないためさらに長時間の活動が可能だ。未開封時の品質保持期間は5年で、場所をとらずに収納・保管もできる。
 ラインアップは「フルフェイスタイプ」と「マウス&ノーズタイプ」の2種類。頭部をすっぽり覆う「フルフェイスタイプ」は視界を確保するとともに熱や炎から頭部を保護。安全に初期消火活動を行うのに適したデザインで、火に立ち向かうための仕様といえる。
 一方のコンパクトな「マウス&ノーズタイプ」は口と鼻を覆うデザイン。呼吸を確保し、速やかな避難行動に適しているといえる。いずれもフィルター、吸着剤、触媒という3層構造で10種類以上の有毒ガスに対応。建材や什器、備品など様々な物質が複雑に組み合わされて構成されている現代のビルでは、どのようなガスが発生するかを的確に予想することは困難だ。多くのガスに対応しているマスクを装着することでより安全な呼吸が確保できる。ワンタッチで誰でも簡単に装着可能。排気弁付きで会話もしやすいため、初期消火活動、避難行動いずれもスムーズに行うことが可能だ。


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