不動産トピックス

今週の一冊

2010.12.20 12:19

全国のビルオーナーが関わる固定資産税の嘘を暴く

固定資産税の暴走を止めろ! 理不尽・無慈悲・ご都合主義
著者:稲垣俊勝
出版:合同フォレスト
発行:平成22年12月1日
価格:1200円(税別)

 固定資産税の増税については弊紙でも幾度と取り上げてきた。この増税において根本的な問題となるのは、まず課税の仕組みが複雑で理解し難い点である。税制が複雑であるが故に問題点が見出し難く、多くのビルオーナー含む不動産所有者が当事者意識を持つことが難しいという、悪循環が生まれている。
 本書「固定資産税の暴走を止めろ!理不尽・無慈悲・ご都合主義」というタイトルからも分かるように、固定資産税の問題において、これまで行政に対して物を申し続けていた著者、瑞宝興業の代表取締役を務める稲垣俊勝氏の活動が凝縮された一冊である。ただ、決して稲垣氏の活動録というわけではない。日本全国すべての不動産所有者が固定資産税の問題点について理解を深めることができるよう、固定資産税の成り立ちから固定資産税額の根拠となる土地の評価額の問題点、登録免許税や不動産取得税についても詳しく解説されている。稲垣氏は中小ビルオーナーにとって厳しい環境であるからこそ、オーナーは勉強し、オーナー同士で情報共有をするべきであると話す。地価は下がっているにもかかわらず、不動産に関わる税金が上昇している。この現状を変えるには、一人一人のオーナーが声を上げるしかない。
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