不動産トピックス

クローズアップ トイレリニューアル編

2007.09.03 17:43

 トイレは、テナントの誘致に大きな影響をもたらす要素の1つである。現在多くのテナントが、洋式で機能的な便器を求めており、またトイレスペース内に求められる要素も多くなっている。今回はその背景を受け、トイレのリニューアルを特集。現在のトイレ施工はどうなっているのだろうか。

INAXエンジニアリング 低予算施工を実現するプレート工法とネット工法 下階への影響を最小限に抑制し工程の短縮を実現
 INAXエンジニアリング(東京都中央区)が開発した「ネット工法」と「プレート工法」は、従来のリフォーム工法に比べ低予算で施工が可能で、躯体自体への影響が少ない工法である。この2つの工法は同社が提供する和洋改修エコリフォームを実現する工法で、近年高まる洋式便器への変更と工期の短縮への要望に対応する。
 「現在、ライフスタイルが洋式便器に切り替わっており、トイレの節水や機能だけでなくデザインやパウダールームなど、トイレ空間に求められる機能も多種多様になっています」(営業部部長中野忠雄氏)
 ネット工法は、金隠し部分を撤去した後に、便器の底に発泡体を使用したベースを作成。その上にネットを使用したコンクリート平板の新設床を作成し、既設床と同じ高さのままで洋式便器を設置することが可能である。
 しかし、この工法では埋め込まれる床スラブの厚みが薄かったり、箱抜きされた部分が大きいケースにおいては応用が難しいという問題があった。そこで開発されたのがプレート工法である。
 プレート工法は、和式便器で既設床よりも上部にはみ出した部分を取り除き、本体の上に厚さ15mmのプレートをかぶせて接着する工法だ。段差ができるため周囲にスロープを作るなどオーナーの希望に沿った形で調整を行う。
 これらの工法は基本的に土日の2日間で施工を完了することができ、階下がそのまま使用可能であるというメリットがあるため、年間で平均して500件以上を施工しており、現在も増加しているという。

大林組 60時間工法でリニューアル 金曜18時の退館から月曜の出勤までに完了
 大林組(東京都港区)が施工する60時間工法は、従来工法にあった無駄な時間を削減し、施工時間を20日間から最短60時間に短縮した。
 入居者が休みとなる週末に集中して施工し、金曜日の18時から月曜日の6時までの間に工事の完了が可能。入居者がいない週末に施工することで、クレームとなりやすい音やホコリの影響を最小限にとどめる。また、工事期間が使用時に重ならないため、使用不能となる不便さを解消した。
 時間の短縮を可能にしたのには、大きく分けて3つの要因がある。1つ目は壁に施工する化粧パネルを直貼りする点。廃棄物の発生も抑え、既存の壁や床が再利用可能だ。
 2つ目は「速硬性モルタル」である。大林組で開発されたこのモルタルは短時間での硬化が可能である。
 また、階下への影響を最小限に抑える3つ目は、床上の壁際に新設される配管スペース。従来工法では時間と手間を多く取られた下階での天井内作業を減少させたことで大幅な時間の短縮となる。
 東京本社設備管理部の相賀洋氏によると「今回実証したのは当社の社内寮での施工です。4室のブースと便器交換、配管から内装まで一新し、コンクリート壁面にはパネルを施工しました」とのことで、木目のパネルや和式便器から洋式便器への変更によって雰囲気を向上させた。今後は、テナントへの負担を最小限に保ち、付加価値を高める施工を目指している。

エコ・ハウス 女性コーディネーターによるプランニング 顧客の本音を引き出し満足度上げる
 リフォーム工房のエコ・ハウス(埼玉県川越市)が提供するのは女性コーディネーターによる「リフォームスタイリング」である。
 同社では7店の営業所を含む9拠点に建築学科卒の10人の女性コーディネーターが所属。顧客のデザインやこだわりに対し、費用や技術に先んじてプランを策定し、その中から、技術・費用面を担当するリフォームプロデューサーが提案、打ち合わせをする。イメージ図としてパースを提供することで、イメージと現実の施工のギャップを最小限に抑制することを目指した。
 「顧客の中には、女性のコーディネーターとプロデューサーを指名する方も見受けられます。トイレの清掃にかかわることが多く、また要望も多い女性の視点から構築するプランは、技術者には考えもつかない点が多いのです」(代表取締役神橋和弘氏)
 今までの施工事例で最も印象深かったのは、足を切断した顧客宅でのリフォームだという。障害者用トイレがない場所が多く、場所を知らなければ外出もままならないため引きこもりがちになっていた顧客の本音を引き出すまで担当コーディネーターが通ったという。また、その要望を実現するために車椅子用介護自動車を調達し、メーカーのショールームまで案内して手すりの設置場所などを仔細に選定したそうだ。

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