不動産トピックス

不動産管理新潮流

2006.03.20 14:03

<新戦略>ファーストファシリティーズ 今年1月から環境事業推進室を新設 環境に配慮した洗剤採用など業務のエコ化を推進
 三井不動産グループのビルメンテナンス会社ファーストファシリティーズ(東京都台東区)は、今年1月1日に組織を一部改正し「環境事業推進室」を新設した。代表取締役社長で環境事業推進室室長を兼務する佐々木繁夫氏は語る。
 「当社の事業は清掃、設備管理、警備に加えて原状回復などの工事になりますが、これらの業務は『環境』と密接な関わりがあり、これまでも何らかの形で環境事業に取り組んでいました。今回の事業部新設にはこれまでに蓄積してきた環境事業のノウハウを積極的に事業化し、第5の柱にしていこうという目的があります」
 佐々木氏は昨年4月に社長に就任したが、最初に取り組むと明言したのが環境事業であったという。それは同氏が語るように既に環境対策についてはISO14001の認証取得や本社ビルの省エネ対策など社内で取り組んできたノウハウがあり、加えて社会的な要請も高まりつつあることがある。
 「緒についたばかりで具体的な施策についてはこれからですが、現在、複数のメーカーと環境ダメージの少ない洗剤やワックスに関する研究会を設置し検証作業に入っています。1年以内に環境対策を施した清掃用品の導入をはじめ、3~4年で全面切り替えを果たしたいと考えています」(佐々木氏)
 他に殺虫・殺鼠に使用する薬品に関しても環境衛生事業者と研究会を発足させ、早い段階で「エコ商品」への切り替えを目指す。また省エネ対策サービスの充実や管理現場での廃棄物リサイクルの実施、社員教育の徹底などあらゆる面から環境事業を推進する。
 「当社には約2800人のパートを含む約4000名の従業員がおり、まずは教育の徹底が必要だと考えています。そのため、勉強会やパソコンを通じての環境関連の教育、リサイクル施設などを見学する『エコツアー』を実施します。こうした取り組みによって、現場にいるスタッフ自身に環境事業としてそれぞれ何ができるのかを考えてもらい、業務品質をエコ化していきます」
 既に東京・大崎の管理ビルで「人の動線部分だけカーペットが擦り減ってしまうが全部交換するのはもったいない」という指摘を受けて、摩耗の激しい動線部とその他の部分に設置されたカーペットを入れ替えることで寿命が3倍以上になる「ファシリティマット」を開発し商品化している。また、再開発プロジェクトにおいて空調用フィルタの洗浄、再利用システムを構築するなど現場から生まれた製品・技術は多い。
 「エコ製品は汎用製品に比べて高く、機能も劣る場合があります。それでも人的な取り組みで機能を補い、メーカーに協力を仰ぎ、コストを抑えることは可能でしょう。ただいくらかはコストに跳ね返るのは仕方がない部分があります。業務品質をエコ化したからといってサービス価格を上げるのは難しい局面が続いており、当面は当社の持ち出しになってしまうでしょう。しかし必ずこうした取り組みが評価されると信じています」(佐々木氏)

ジェテム ビル管理費用の適性診断業務を実施 年間1千万円以上削減例も 中間コストを最小化
 ビルメンテナンス業界で約30年のキャリアを持つ鈴木氏が平成7年に設立したジェテム(東京都中央区)は、総合ビルメンテナンス業を手掛けながらビル管理費の診断も行っている。診断の流れは現在の管理業者が清掃・設備管理・警備管理・事務等それぞれどの程度コストをかけているのかを、1週間程かけて価格のチェックを行う。
 通常の管理会社では管理費の削減をオーナーから依頼されると、単価を下げずにそれまで毎月行っていた清掃を2カ月に1回に減らすなど管理品質を下げて値下げに対応する傾向があったそうだが、ジェテムでは自社で契約している末端の清掃業者に直接業務を依頼することで、中間コストを省き管理品質を下げずにコスト削減を実現している。
 「診断費用は現在の契約管理費より安い料金を提示できる場合に限り、差額の1カ月分を受け取ります。現状より高い価格鹿提示できない場合は無料です」(鈴木氏)
 主に中間業者を省くことがコスト削減の第一歩と鈴木氏は言う。取り組み事例の中には年間数千万年以上のコスト削減を実現する物件も珍しくはないそうだ。
 この他、施主に対して長期修繕計画の重要性、現行賃料の見直しなども提案しており総合的なコンサルティングを展開している。

ダスキン 鳥害対策サービス事業が好調 電気ショックなどえ効果的な防鳥実施
 清掃用品レンタルサービス大手のダスキン(大阪府吹田市)では、顧客からの要望が多いことから3年前より鳥害対策サービス「バードシステム」の提供を行っている。
 サービスの特長は鳥によるフン・騒音等の被害にあった場所へ鳥を寄せ付けないように防鳥施工を行い、定期的に設置箇所を訪問することで永続的に鳥が近寄らないよう設備保持を行うものである。
 使用する設置資器材は剣山にネット、そして触れると電気ショックを与える「バードアウト」の3種類。これらを被害現場の状況に合わせて使い分ける。
 バードアウトの仕組みは鳩が死傷しない程度の電流を一定間隔で流し、一度電気ショックを受けた鳥は2度とその場には近付かなくなる性質を利用したもの。太陽電池をしようすることで電気代はかからず、防水加工により屋外での設置も可能である。
 「鳩は一度決めた場所に強く執着します。その為その場だけ追い払うのではなく、鳩が2度と飛来しないような資器材の設置が重要です。また施工後もきちんと防鳥効果を発揮しているか定期的な確認も怠らないようにしています」(三宅氏)
 バードアウトの価格は定価で6万6000円。これに施工・定期点検費用が加わり、現場の環境によって異なる。

【短信】
三幸、子会社を設立 大型施設清掃に特化
 三幸(東京都渋谷区)は、大規模施設の清掃業務に特化した子会社「三幸ビルソリューション」を4月1日付けで設立する。事業展開上、請負業務主体となる大規模施設と提案営業主体となる中小型ビルとに業務対象を大別し、それぞれに応じた営業政策を講じることが設立の目的。また、富士重工業と開発した清掃ロボットの更なる導入拡大を図るべく協同連携を図っていく。

セコムテクノサービス 矢野新空調を子会社化
 セコムテクノサービス(東京都中野区)は空調資機材卸、設計、施工、保守を手掛ける矢野新空調(東京都足立区)の株式100%を取得し、子会社化する。空調関連のノウハウを吸収し本業のメンテナンス業務に活かしていく。なお、矢野新空調の平成17年度3月期の売上高は、13億8300万円(売上総利益1億6400万円)。株券引渡し期日は4月3日。

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