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「西新宿ビジネスキューブ」稼働開始 2~3階の2フロア「プロポーザル型オフィス」導入

2023.02.27 11:25

 大成有楽不動産(東京都中央区)の展開する中規模オフィスビルブランド「ビジネスキューブ」。その第3弾となる「西新宿ビジネスキューブ」が、昨年11月末に竣工した。
 場所は都営大江戸線「新宿西口」駅徒歩4分、西武新宿線「西武新宿」駅からは徒歩5分、JR各線および東京メトロ丸ノ内線「新宿」駅などからも容易にアクセスできる西新宿7丁目に位置する。地上8階建てのオフィスビルで、延床面積は2836・82㎡。基準階面積はおよそ105坪。元々同地には築古ビルが建っており、ホテル用地を視野に2017年に取得。しかし新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、大幅に計画を変更。コロナ禍でも機能する感染症対策を施したオフィスビルを計画し、テレワークの浸透もあって「行きたくなるオフィス」の仕様も施すことと決めた。
 同ビルでは什器付きのセットアップオフィスを採用。貸室全6フロア中、2~3階の2フロアがセットアップオフィス。それも半分の50坪までをセットアップエリアとし、残り50坪はテナントに自由度を持たせたフリーエリアとした。これはセットアップオフィスのリーシング時に散見される、テナント側が必要とする機能・設備面での「ズレ」を解消させることに繋がった。セットアップエリアは造作家具付きのコミュニケーションスペースとして機能。一方企業によって必要数が異なる固定席等の箇所が、フリーエリアに該当すると思われる。ちなみに2階のデザインは来客者を迎えるオープンスタイルで、木のぬくもりが感じられる「Natural」。3階は集中できるセパレートスタイルで、ダークな色合いでまとめた落ち着いた空間の「Industrial」となっている。
 ビル事業本部の床枝拓斗氏は「一部レイアウトや設備を入居テナントが自由に考えることのできる『プロポーザル型オフィス』を採用しました。従来ならテナント側が負担する会議室やパントリーを当社が用意することで、入居時の内装工事費や退去時の原状回復費などのコストを圧縮でき、移転期間の短縮にも貢献します。入居コストは通常オフィスの約60%削減、退去コストは約90%削減(当社調べ、クリーニング費のみの場合)が可能です」と語った。実際、別のシェアオフィスを使用しているベンチャー企業の入居が決定済み。起業してから数年経ち、次なるステージへとステップアップを目指す小規模企業に適している。
 また4~7階の4フロアは、一般的なオフィスフロア。既に4フロアは満室で、セットアップも含めるとビル全体の稼働率は86%。同じ新宿エリア内からの増床移転が多い。特筆すべき点は、専有部内にオープンパントリーを採用したこと。シンクや浄水器、IHコンロ対応の電源付きカウンターを設置し、休憩時に利用できるリフレッシュスペースも兼ねている。また8階の屋上にはルーフガーデンを導入。テーブルやベンチを備え、こちらもランチや休憩などに利用可能。無料Wi-Fiを完備しているため、ワークスペースとしても機能する。昨今オフィスに期待される「社員のコミュニケーションの場」に応えた環境となった。
 感染症予防対策として「非接触」を積極的に導入。エレベーターをはじめ、トイレやキッチンは手をかざすと水が出るタッチレス水栓を設置。専有部入口ドア等は抗菌仕様のレバーハンドルも採用。換気対応としては、オフィスフロアを1時間に換気2回転行う高性能機械換気システムに。エレベーターにはウイルス・菌・花粉などを抑制する空気清浄機を設置。室内の空気を清潔に保つ。
 また同ビルは同社ビル開発事業において、初の「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」として「ZEB Ready(ゼブ・レディ)認証」を取得。「LED照明への照度センサー設置」や「全熱交換機へのCO2センサー設置」、「給湯配管の保温」などを実施したことで省エネルギー・省コスト化を実現した。

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