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大阪「ガスビル」開発へ一歩 歴史的ビルを保存・活用し隣接地に高層ビル

2023.02.13 11:29

 大阪ガス(大阪市中央区)、大阪ガス都市開発(大阪市中央区)は、「大阪ガスビルディング(ガスビル)」のリノベーションと、同ビル西側に隣接する同グループ社有地における複合ビルの都市計画が決定される見込みとなったと発表した。新築複合ビルの竣工は2027年頃、「ガスビル」のリノベーションは2031年頃の竣工を見込んでいる。
 同計画は、都市再生特別地区制度により、「ガスビル」敷地と社有地との間にある市道(御霊筋)の道路上空を活用し、両敷地の一体的利用を図るもの。歴史的建築物である「ガスビル」の保存を中心とした都市再生への貢献による容積率の緩和を受け、敷地全体の高度利用を図る。
 社有地に新築される建物は、鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)地上33階建て。改修部分は鉄骨鉄筋コンクリート造地上8階建て。合計敷地面積は1万370㎡、同じく延床面積は13万6000㎡。
 各棟1~2階には商業施設を誘致し、周辺地域にさらなる賑わいをもたらすと共に、上層階にはオフィスを整備し、業務機能の集積と賑わいの調和するビジネスゾーンを形成する。
 「ガスビル」は南館(1933年竣工・登録有形文化財)と1966年竣工の北館で構成され、両館一体となった特徴的な外観を形成している。外観は、東側・北側・南側の全てと西側の一部を保存。竣工当時の趣を残す玄関やエレベーターホールを始め、建物全体の床面積の約85%を保存し、活用する。
 従来からの南館と北館は耐震性向上のため一部を減築し、開放的なアトリウム空間として再生。また、御堂筋側に新たなエントランスを設ける。コワーキングスペースやシェアオフィス等を設け、新たに建設する西館には多目的大ホールを整備し、利用者の動線が交わる道路上空利用部分にイノベーションスクエアを整備する。
 高効率分散型システムであるガスコージェネレーションシステムを採用し、エネルギーの高度利用を図ると共に、耐震性の高い中圧導管によりガスを供給することで災害時にも電力・熱の供給継続を可能とする。また、ガスビル西館は震度7クラスを想定した耐震強度を確保。
 近隣施設には、災害時にガスビル西館の大ホールを帰宅困難者の退避施設として開放。また環境への取り組みとして高効率省エネルギー設備などの再生可能エネルギー設備の導入、非化石証書やカーボン・クレジットの活用等により、ビル全体でのカーボンニュートラルの実現を目指す。

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