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「中銀カプセルタワービル」を3次元データで保存

2022.04.25 14:17

 取り壊しが始まった「中銀カプセルタワービル」を3次元データで保存するプロジェクトが進んでいる。
 東京都中央区銀座に建つ「中銀カプセルタワービル」は、1972年竣工の分譲マンション。各部屋が立方形状のユニット(カプセル)となっており、これを交換することで室内設備の更新や間取りの変更に対応出来る構想だった。建築家・黒川紀章氏が設計したメタボリズム建築の代表作とされ、保存を望む声も挙がっていたが取り壊しが決定。その価値を後世に残すため、3Dデータ化プロジェクトが開始された。
 プロジェクトを主導するgluon(グルーオン)は同社を中心とした「3Dデジタルアーカイブプロジェクト」を立ち上げ、プロジェクトメンバーで「中銀カプセルタワービル」を3次元で計測。実空間の情報を全て3次元データ化した。
 計測にはミリ単位で正確な距離を計測できるレーザースキャンのデータと、一眼レフカメラやドローンによって撮影した2万枚以上の写真データを組み合わせて建物全体をスキャンすることで実空間の情報をまるごと3次元データ化。平面的な写真や図面だけでは記録しきれない複雑な形状や立体的な構造を記録し建築形状を正確に把握し、デジタルアーカイブとして後世へ残す。
 3次元計測の費用やデータの制作費などはクラウドファンディングで集めている。リターンには活動内容を紹介するオンライントークセッションへの参加券や、同ビルの高密度・超解像度の3次元データの提供などが用意される。また、応募者向けにスマートフォンで見ることができる同ビルのAR(拡張現実)も先行公開されている。
 クラウドファンディングは8月9日まで実施されている。

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