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災害備蓄用スタンド「BISTA」ビルのエントランス・シェアオフィスでの設置進む

2022.03.22 12:08

 ビルでの設置が増えた災害用備蓄スタンド。入居テナントの就業者だけでなく、来館者や近隣のビルで勤務するワーカーまで視野に入れた複数人使用想定の備蓄スタンドだ。自社のBCP対策だけでなく、地域活動継続計画(DCP)まで捉えた対策として注目を集めている。
 防災用品の企画・製造・卸売業を手掛けるファシル(静岡市駿河区)は、2020年9月から災害用備蓄スタンド「BISTA」を提供している。
 BISTAは、災害時に必要となる防災用品がオールインワンで揃った災害用備蓄スタンド。白を基調としたスマートなデザインが特徴で、インテリアとして馴染むことが意識されている。これは従来の災害用備蓄の発想とは異なり、防災用品を倉庫やロッカーに置くのではなく建物のロビーやエントランス、応接室など、あえて日常的に人が行き交う空間に置くことで、「誰でも普段から防災を意識する」ことがベースにある。実際、従前までの災害備蓄は「どこに何があるのか」を一部の社員しか知らず、用意しているのは自社社員だけのもの。不特定多数の誰かに対しての準備はできていない場合が大半であった。また水・食料は備蓄していても安否確認や被害状況を把握するための通信機器の電源は確保されておらず、今後必要とされる長期の感染症対策も準備できていないのが現状だ。
 これらの課題に応えたのがBISTA。外観はあえて防災用品らしさを無くし、オフィスや公共施設、商業、金融機関、宿泊施設等の様々な建物に違和感なく馴染むデザインとした。加えて多くの企業が備蓄している水や食料はあえて入れず、災害発生時に最も必要となる通信手段の確保(インバーター式発電機1機や10台同時に携帯電話の高速充電が可能な充電器1機)、感染症対策商品(長期保管可能な除菌・消臭剤、3M防塵マスク)、最大50人分の災害備蓄品(大小便兼用使い捨て携帯トイレ、長期保存カイロ、使い捨て簡易ライト、3WAYポンチョ)、災害用伝言ホワイトボード、防塵・防滴LEDランタンとランタン用乾電池などをコンパクトかつオールインワンという形で収納している。
 またBISTAは、地域貢献という視点で地域活動継続計画(DCP)の発想も取り入れている。昨今自社の事業継続計画(BCP)について入念に思案しているケースを見かけるも、自社の従業員だけでなくビルや施設に居る人々、また周辺の地域住民など、「不特定多数」の「誰か」まで意識して備蓄しているケースは稀だ。自社存続のためのBCPだけでなく、DCPの視点にも立ち「非常用電源や携帯電話への高速充電器の提供」、「50人分の災害備蓄セットをすぐに被災地への緊急支援物資として活用」など様々な使い方ができる。
 代表取締役の八木法明氏は「昨今はテレワーク導入によるオフィスの縮小・分散、シェアオフィスの活用等により、防災担当者が不在でも誰でもわかる備蓄が求められています。普段から目に付く場所にBISTAがあれば、いざという時に『すぐに』、『誰でも』防災用品を手にすることが可能です。またビル内に滞在していた時に災害に見舞われた来館者や帰宅困難者となった人にも手厚い災害時のケアができます。様々な状況を見据えて対処できる、BISTAはそんな時代の流れに沿った災害用備蓄スタンドです」と語った。
 ちなみに1台68万円(定価)で、サイズは高さ101・5cm×横幅50・5cm×奥行50cm。重さは約81・5kg。ビルのエントランスやテナント向けに設けたサードプレイス等に設置しては如何か。

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