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森ビル エスカレーター手すり除菌装置 実証実験で導入効果を検証

2022.02.28 11:39

 エスカレーターを利用する際、手すりにしっかりとつかまることが事故防止にもつながるが、コロナ禍の今、不特定多数が接触する手すりには躊躇するケースも多いのではないか。森ビル(東京都港区)はオーク製作所(東京都町田市)とエスカレーター手すりの除菌装置を共同開発し、実証実験を行った。
 今月22日、森ビルは安心・安全なエスカレーターの利用を促進するため、「エスカレーターハンドレール除菌装置」の実証実験を行い、実際の「街」における装置導入効果を検証した。エスカレーターに設置した本装置の紫外線除菌機能によって手すりのベルト表面を除菌。更に「除菌中」と表示することでエスカレーター利用者に安心感が生まれ、手すりにつかまることへの心理的なハードルを下げる。 
 森ビル都市開発本部計画企画部メディア企画部部長の矢部俊男氏は、「エスカレーターの手すりにつかまらず事故が起きるのを未然に防ぐことを一番の目的にしています」と話す。
 同社は「エスカレーター『みんなで手すりにつかまろう』キャンペーン」を積極的に行っていたが、コロナ禍で手すりにつかまりにくい状況となった。本装置では、除菌に加え、除菌を想起させる青色の光をディスプレイとして点灯させることで視覚的効果に訴え、『手すりにつかまろう』という行動を促す効果が期待できる。既存のエスカレーターに後付けで設置できるのも強味となっている。
 共同開発のパートナーであるオーク製作所は50年以上、産業用紫外線ランプおよび応用機械の製造販売を手掛けている。今回の装置の基本設計は約4カ月で完成したという。紫外線照射によるベルトの劣化については、交換周期に影響がない紫外線の量を計算。
 装置の中は、「手すりのベルト表面と、指が触れる左右の部分にも紫外線が当たるような構造になっています。ベルトに沿うような形で紫外線を放射するU字型に加工しました。ベルトのスピードが1分間に45mです。そのスピードに合わせ除菌できるような紫外線を照射する装置です。エスカレーターの大きさに応じて紫外線の照度を変える等、いろいろ工夫ができると思います」(オーク製作所 取締役執行役員社長(COO)藤森昭芳氏)。
 森ビル、オーク製作所、森ビル関連会社で販売担当のイーヒルズ(東京都港区)の3社で本装置に関する特許を出願中であり、今回の実証実験の結果を踏まえ、製品化と事業化を目指す。

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