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ビジネスに特化したコワーキングスペース 熊谷の「KUMAGAYA BASE」 空室対策を管理会社と協力しオーナーへ提案

2021.05.24 11:31

 コロナ禍以降、郊外型のシェアオフィスやコワーキングスペースが増加。地域によっては供給過多や近隣に競合が出来たことで既存の施設が撤退、または閉店した施設もあるという。一方ビル賃貸業の手助けとなり、地域に根付くことやビルの資産価値向上に繋がったケースもある。クマガヤベイスもその好事例の1つだ。

 昨年1月にJR「熊谷」駅北口から徒歩1分に誕生したコワーキングスペース「KUMAGAYA BASE(クマガヤベイス)」。周辺地域のコワーキング需要に応えつつ、ビルの空室対策や資産価値向上にも貢献している。
 クマガヤベイスは都内の不動産事業者に務める爪川益雄氏が、自宅近くでの「仕事場の確保」、2016年頃から空室の増加が進む同地域の「空きテナント対策」、空室改善やコワーキング需要増加も含めての「地元貢献」等を理由に開始した。構想には1年以上を費やし、開設及び内装施工には4カ月を要した。開設後は順調に会員及び利用者が増加。当初は競合に駅ビルや駅周辺に店舗を構えるカフェチェーン店などを想定していたが、現在は上手く住み分けができている。会員及び利用者は近隣に暮らす会社員や営業等で同地域に足を運んだ人など。ドロップインやビジターの利用は多く、ネット環境が整っていないため在宅勤務にあまり向かない人、起業を目指すフリーランスも見られ、土日は学生や資格取得等が目的の会社員も足を運ぶ。
 同施設のオーナー兼運営事業者の爪川氏は「駅近くのアクセス性やフリースペースでのウェブ会議、電話等を了承していることもクマガヤベイスの特徴で好まれています。1カ月の利用者数は延べ200人ほどで、20~30代の利用頻度は多く感じます。隣接駅からお越しになる方や車で通う人もいるほどです」と語る。
 そんなクマガヤベイスは筑波2丁目の「渡辺総合ビル」5階にあるのだが、7階には同社が運営・管理する貸会議室がある。同会議室は既存の空室を活用して開設。元々7階の空室が気になった爪川氏が、同ビルの管理会社で地元熊谷市の企業・マコト物産へ貸会議室による空室活用を提案。提案内容に賛同し、後に爪川氏と管理会社で協力しビルオーナーへの貸会議室の提案に繋がり、即採用となった。貸会議室は3部屋で構築されているが、仕切りは簡単に取り外せて部屋同士を連結させることも可能。また新規テナントの入居が決まった場合でも即取り外しての撤去も可能と、柔軟性も持ち合わせた。コワーキングスペースの会員が来客者との打ち合わせに使用することや、外部からの予約・利用も受け入れている。
 「過去には法律相談会等も行うなど、貸会議室が上手く空室の活用に繋がりました。郊外型のコワーキングスペースやシェアオフィス等の収益化は簡単ではありませんが、活路があるとすれば『複合型』でしょう。様々な需要を加味しながら、その地域に適した環境を構築することが重要と思います。クマガヤベイスはコミュニティの創出等を意識しておらず、まさにビジネス利用に特化した施設です。地域のニーズをしっかりと捉えることも大事であると思います」(爪川氏)


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