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学生向けマンションを開発 初のデベロッパー事業 今後開発事業を強化

2021.05.24 11:30

 不動産科学研究所(東京都新宿区)では個人投資家・法人の双方に向けて不動産コンサルティング事業と、自社所有物件の賃貸業を展開している。今年3月、同社が建物の開発・企画を行った学生向けマンション「南水元ガーデンコート」が完成した。東京理科大学葛飾キャンパスに通う学生向けのマンションとなっている。
 同マンションでは自宅でも学習に集中できる間取りとなっている。単身向け1LDKは約25・5~27・2㎡。平均よりも広めの設計となっている。部屋中央にはパーテーションを利用して部屋を仕切ることが可能。このようにできることからワンルームのなかでも、プライベートな時間を過ごす寝室と、オンライン授業を受けたり勉強に集中できるリビングに分けることができる。加えて、インターネット回線も通信速度が速いIPv6/IPoE方式を採用している。
 今回開発・企画を行った不動産科学研究所代表取締役の小原正徳氏の前職はゴールドマン・サックス・アセットマネジメントの不動産運用部にて不動産ファンドの運用に従事。
物件取得業務を担当し、取り扱った不動産の総額は調査業務で約3000億円、取得業務で約600億円に達する。
 「南水元ガーデンコート」はコロナ禍のなかでのニューノーマルな生活に対応したものとなっているが、「企画自体はコロナ前のことでした」と明かす。「オンライン講義などはコロナ禍の有無にかかわらず、これからの教育の現場で広がっていくものと見ていたことによる企画でした」と話す。昨年4月以降、オンライン講義や在宅ワークなどが広がる中で、ハウスデベロッパーの多くが書斎やワークスペース付きの住宅を企画し始め出した。現在のニーズにマッチしたものとなったわけだ。
 小原氏は不動産ファンドや事業法人の投資ニーズについて「住宅と物流施設に対しての投資意欲は強い」と話す。コロナ禍のなかでも入居率が安定的であることなどを理由に堅実なアセットであるとの評価が高まっているようだ。そしてコロナ禍でライフスタイルやワークスタイルが変化したことによって、新しいニーズに応えようとする試みが始まっている。
 不動産科学研究所では今回のような開発業務は初。この実績をもとにして「同じような企画開発の案件に応えていくとともに、自社の不動産賃貸業でも生かしていきたい」と話した。変化する不動産へのニーズをとらえ続けていく。

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