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ハウス食品グループ本社とakippaが提携 初台駐車場にキッチンカーが出店

2021.04.05 10:57

 ハウス食品グループ本社(東京都千代田区)では3月よりキッチンカープラットフォーム「街角ステージweldi」を展開している。同月24日、駐車場予約アプリ「akippa(アキッパ)」を運営するakippa(大阪市浪速区)と業務提携。同アプリへの登録駐車場へ出店していく。31日にはその第1号として、京王新線「初台」駅から徒歩2分の地にある「初台パソコン教室駐車場」へ出店した。

駐車場スペースの稼働率向上に寄与
 「街角ステージweldi」はハウス食品グループ本社が2019年9月より実証実験を開始。これまで都内8カ所でキッチンカーを運用し、合計3万5000食を販売した。正式に事業化して以降は常盤橋、西新宿、日本橋横山町の3カ所で展開し、初台は4カ所目となった。
 両社提携の背景には互いにキッチンカー出店へのメリットを共有できることにあった。ハウス食品グループ本社は出店場所を確保できると同時に、akippaにとっては運営駐車場の稼働率向上が可能。これらに加えて、外食事業者の支援やランチのマンネリ化解消、地域の賑わいづくりなども実現していく。
 「街角ステージweldi」の責任者である、ハウス食品グループ本社新規事業開発部の渡邉裕大チームマネージャーは「当初はオフィス街で昼食時間帯にお店が混雑することからおいしいランチを食べられない、いわゆる『ランチ難民』向けに展開してきました」と話す。しかし、コロナ禍により状況は変化。テレワークなどが浸透したことにより、住宅街での需要も増え始めた。初台は大型オフィスビルも点在する一方で、住宅街もある複合エリア。今後出店していくエリアについても「このような複合エリアへの出店を強化していきたい」(渡邉氏)と示す。  一方、akippa事業企画室フェローの田中大貴氏は今回の連携を「駐車場スペースの稼働率向上につながり、スペースオーナー様にとって収益向上につながる施策です」と喜ぶ。同社では昨年12月より駐車場にて「akippa マルシェ」の実証実験を開始。「お弁当や食料品等の販売・購入ができる」取り組み。今回のハウス食品グループ本社との提携は、このような駐車場スペースの新たな活用の浸透を後押ししそうだ。
90年超の歴史を誇る老舗もオリジナルメニューを提供
 「初台パソコン教室駐車場」では毎週火曜日、水曜日、木曜日に「街角ステージweldi」が出店する。それぞれの曜日で出店事業者が異なり、火曜日はパエリアを提供するスペインクラブ(東京都中央区)、水曜日はカレーを提供するアラスカ(大阪市北区)、木曜日はタコライスを提供するセクター セブン ジー(東京都新宿区)となっている。
 31日に出店していたのがアラスカ。1928年に関西発の本格的西洋レストランとして始まった老舗。現在、関西・関東双方で15店舗を運営する。
 関東圏の店舗を管理する佐藤佳典経営戦略室長は「新型コロナウイルス感染症の影響でメーンのお客様であった接待需要などが落ち込んでいます」と明かす。既にテイクアウトやオンラインショップなどを展開しているなかで、新しい取り組みとしてキッチンカーも考えていた。ただ、キッチンカー用の車両や場所の確保、行政への許認可申請など開業するまでの手間が煩雑で「単独での開業は難しいと思いました」と振り返る。
 佐藤氏は「街角ステージweldi」の情報をキャッチし、3月8日に問い合わせ。1カ月足らずでオープンすることができた。「キッチンカーから場所の確保などの手間となっていた部分は全て準備して頂きました。その分、我々はキッチンカーでの提供メニューの検討などを進めることができました」と喜ぶ。
 メニューはカレーや、キッチンカーオリジナルの牛肉100%のハンバーガーなどを用意。価格帯も800~1000円ほどと昼食代の相場に合わせた。佐藤氏は「キッチンカーを通じて、新しいファンを獲得していきたい」と語る。
コロナ収束後の回復に向けた新しい賑わいづくりとしても
 コロナ禍のなかで街の味と賑わいをつくってきた飲食店が不振に陥るなかで、どのようにプロの味を届けていくかは課題となる。不動産オーナーにとっても街に集客しにくいコロナ禍のなかで、どのように賑わいをつくっていくかは難問となっている。特に飲食店など集客施設が撤退してしまうと、収束後の回復スピードにも大きく影響する。プラットフォーム等を活用して、テイクアウト中心で取り組んでいくことは飲食店事業者の課題と賑わいづくりという難問をクリアする一手になるかもしれない。

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