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ゼン・ランド 6月に宿泊施設2棟を取得 戦略・工夫次第で稼働率は向上

2020.09.07 14:26

 東京都渋谷区に本社を構えるゼン・ランドは6月17日、池袋に立地する簡易宿泊所「龍馬池袋」と西大井に立地する旅館業施設「龍馬西大井」の取得を公表した。
 同社は不動産の賃貸業や売買・仲介、管理業、プロパティマネジメントやコンサルティングに至るまで、不動産に関する事業を幅広く展開。特に商業用物件・店舗物件の賃貸、売買の仲介業を得意としており、また昨今は不動産の取得・保有事業にも注力する。今回はグループ会社で、宿泊施設の運営委託業務を行っているサムライズ(東京都渋谷区)が受託していた物件を取得。管理受託は2年以上におよび、物件の良さ・特徴などをよく把握していたこともあり保有へと繋がった。
 代表取締役の藤井善英氏は「双方ともに木造・2階建ての宿泊施設です。従前の『龍馬西大井』は90%以上の稼働率を維持しており、東南アジアなどからの家族旅行といった複数人での宿泊需要に応えていました。一方池袋の物件は、訪日観光客だけでなく日本人の利用も多く、利用者の6割が日本人といった様子。これまでは物件の管理受託でしたが、今後は自社で保有し運営できるため、従前よりも様々な施策を展開していきます」と語る。
 とはいえ、気になるのはコロナ禍での運営状況について。実際、2~5月期は利用減であったものの、緊急事態宣言の解除以降は回復傾向にある。池袋の17あるベッドのうち、14は既に埋まっているとのこと。また宿泊単価はまだ割安であるものの、需要が戻れば宿泊料金を今後は多少値上げすることも想定する。それだけ同地域ではまだ簡易宿泊施設のニーズがあり、戦略や工夫次第で稼働率は伸びていくことも考えられる。
 藤井氏は「西大井の物件は戸建て型にリニューアルし、1階には共用スペースを設けました。一方池袋は手を加えず、従前の施設を生かして運営しています。双方ともに6月から稼働率の回復傾向が進み、7月は更に稼働率が向上しています。今回のように物件取得後、バリューアップやリノベーションを実施して資産価値を向上させたうえで運用していくことも想定しています」と語り、今後も不動産の取得に意欲的な姿勢を示した。

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