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木質免震構造の8階建てオフィスビル「タマディック名古屋ビル」着工

2020.07.20 15:02

 タマディック(東京都新宿区)は、CLT(直行集成材)を活用した地上8階地下1階の木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」の建設に着手すると発表した。2021年11月に竣工を予定している。
 「タマディック名古屋ビル」は敷地面積637㎡、延床面積4500㎡、地上8階地下1階。同社の東海エリアの事業拠点として愛知県名古屋市に建設され、総務部や営業推進部など本社管理機能のほか、航空・宇宙事業部、FA・エレクトロニクス事業部の一部が移転する予定。設計は、プリツカー賞を受賞した建築家・坂茂氏が担当する。
 新ビル建設地として取得した用地は防火地域のため、認められるのは耐火建築物のみ。CLT板とコンクリートを組み合わせた構造とし、木のあたたかな執務空間と、しなやかさと頑丈な構造性能を持つ建築を実現できる計画とした。
 柱はCLT板を組み合わせてロの字型の断面をつくり、それを型枠にしてコンクリートを打設し、RCを内蔵したハイブリッド断面。常時は内蔵のRC断面が建物を支え、地震時には木造(CLT)+RCの柱として水平力に抵抗し、火災時には耐火性能のあるRC構造が建物を支え崩壊を防ぐ構造。実物大の試験体で性能確認試験を行った結果、一般的な配筋のRC断面のみと比べ、最大耐力が約3・8~5倍、剛性が約1・3~1・6倍となり、非常に優れた構造性能があることが確認されたという。
 各階の床は、CLT板を型枠としてコンクリートを打設した(RC+CLT)構造とする。柱と同様に常時はRC断面で床を支えるが、RC+CLTの合成構造とする事で床の振動やたわみを抑え、強度、剛性、遮音性、耐火性の高い床構造となる。一般的なRC造で必要な支保工が最小限となり他工事も同時に行えるため、工程の短縮化も図れる。
 設計の坂氏は世界初の木造7階建てビル「タメディア新本社」(スイス・チューリッヒ市)や世界最大級の木造ビル「スウォッチ・オメガ本社」(スイス・ビール市)など、これまでにも大規模な木造建造物を手掛けてきた。木造でなければならない必然性と木造だからこそ実現できる意匠を用いており、タマディックは同氏の素材や材質を最大限に活かすアプローチが自社の業務と通じるものを感じ、設計を依頼したという。
 タマディックでは執務エリアの環境性向上や社員間コミュニケーションの活性化、フィンランド式サウナ導入による健康促進などをテーマに据え、「働きがいのあるオフィス」の実現を目指していくとしている。

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