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コロナが観光業界に打撃 2月訪日外客数は前年同月比58.3%減

2020.03.23 16:34

 新型コロナウイルス感染症が不動産業界にも影を落としている。特にホテル企業の業績に悪影響を及ぼしている。3月期決算企業のなかで3月19日までに、今2020年3月期の通期業績予想を下方修正したホテルは4社に及ぶ。商業施設やオフィスビルに対する懸念を指摘する声も増え始めている。

 日本政府観光局(JNTO)は19日、訪日外国人数(2月推計値)を発表した。前年同月比58・3%減の108万5000人。特に昨年2月には72万人超が訪れていた中国人観光客は8万7200人(87・9%減)、韓国人観光客は79・9%減の14万3900人となった。JNTOは「新型コロナウイルス感染症の流行に加えて、昨年は2月だった中国の旧正月休暇・春節が今年は1月であったことが影響した」としている。
 こうした環境下で、ホテル業界は非常に激しい逆風に晒されている。
 3月19日までに業績予想の下方修正を発表したのは京都ホテル(京都市中京区)、ロイヤルホテル(大阪市北区)、ワシントンホテル(名古屋市千種区)、帝国ホテル(東京都千代田区)。京都ホテルは前回予想より「売上高4・7%減(97億5000万円)、営業利益69・4%減(1億5000万円)」。帝国ホテルも前回予想より「売上高7・6%減(544億9000万円)、営業利益39・8%減(30億7000万円)」に減額修正。ロイヤルホテルは2月13日に次いで再度の下方修正で「売上高378億円、3億円の営業損失に転落」となった。同様に3月18日に再度の下方修正を行ったワシントンホテルは「2月の売上高は計画比4・1%減(前年同月比18・8%減)、3月15日時点の売上高実績で前年同期比68・2%で推移」とし、通期予想を「未定」とした。株価もこうした流れを如実に反映。京都ホテルは19日時点で昨年来高値から約30%、帝国ホテルは約60%、ロイヤルホテルは約40%、ワシントンホテルは約70%下落した。
 政府筋は「コロナ終息後のV字回復」を謳う。5日の未来投資会議後、西村経済再生担当大臣は「観光需要の喚起や地域の農産品や名産品、商店街の賑わい回復を含め、国を挙げたキャンペーンの実施を検討する」と表明した。がコロナウイルス禍の終息に目途が立たないいま、いかにも説得力に乏しい。日本旅行業協会(東京都千代田区)は12日に発表した「2020年3月期(第4回)旅行市場動向調査」で「6カ月後、7月~9月期の訪日旅行DI(景気動向指数)をマイナス32」と見通した。ただしオリンピックの延期論も出ている中で、マイナス幅拡大に予断を許さない。
賃貸業でも増す懸念 テナントの業況把握を
 現状、目に見えて打撃を受けているのはホテル企業。ただ、オフィスビルや商業ビルなどを中心とする賃貸業への影響も懸念される。
 帝国データバンク(東京都新宿区)は19日、「新型コロナウイルスの影響による上場企業の業績修正動向調査(2020年3月17日時点)」を発表した。それによると3月12日~3月17日までの間で業績予想の下方修正を発表した上場企業が16社、前回調査(3月4日~11日、14社)、前々回調査(~3月3日、50社)と合わせて累計79社。減少した売上高は5553億4100万円。業種別では製造業(38社)、サービス業(12社)、卸売業(11社)などに多い。業績悪化により店舗の撤退や、引締めによる中小企業のしわ寄せも懸念される。既に新型コロナ関連倒産についても多く報道されている。
 埼玉県内のある不動産オーナーは「周辺ではコロナの影響による店舗の撤退はまだ耳にしていない。がオフィスワーカーが昼食などで外出することは避けている傾向にあり危惧は捨てきれない」とした。都内でレンタルスペースを運営するオーナーは「コロナの関係で予約のキャンセルが相次いでいる」と話す。
 コロナショックの影響はいまだ未知数。更に悪化していくことも考えられる。突然「入居テナントが倒産した」というようなリスクを回避するためにも、ビルオーナーはテナントとのコミュニケーションをとりながら業況の把握に努めなくてはなるまい。


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