週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

東大発AIベンチャーが自動搬送ロボットを開発 人工知能で施設内を自立走行

2020.01.14 11:50

 東京大学の学生らにより設立されたAIベンチャー、TRUST SMITH(東京都文京区)は、人工知能を使った自動搬送ロボットの開発に成功した。東京大学に所属するエンジニアが研究開発した技術を応用したもので、これまで手作業で行っていた工場・病院等の搬送作業において、大幅な省力化と人手不足の解消が可能になるという。
 同社が開発に成功した自動搬送ロボットは、ロボット自身が前後左右や路面の凹凸、段差などを検知して、目的とする場所まで自律走行する。作業者が荷物を積載するとロボットが自動で運搬。作業者の移動量を大幅に低減することで、生産性向上が期待できる。
 これまで無人で荷物を運ぶロボットとしては、「AGV(Automated guided vehicle)」と呼ばれる搬送ロボットが存在していた。「AGV」は自動運転車の一種。人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる搬送車を指し、磁気テープや磁気棒などのガイドを予め施設の床下に埋め込むことで施設内の決められたルートのみを走行する。
 一方、同社の自動搬送ロボットはセンサーにより空間の障害物等を認識・回避しながら施設内を自由に走行できる。走行経路上に想定外の障害物等が置かれていたり、歩く作業員がいたとしても自動で安全に回避し目的地まで到達。従来の搬送ロボットでは不可能とされていた、作業員との協働作業も実現できる。
 また、導入時にガイド等を埋め込むインフラ整備や設備変更、それらにかかる費用も不要。ダウンタイムを発生させることなく、すぐに導入が可能だ。1台から試験的に導入することもでき、効果検証後に台数を増やすなど柔軟な運用ができる。
 同社は、2019年11月、人工知能を使った障害物回避型アームロボットのアルゴリズム開発に成功したことを発表している。この技術は、空間内に存在する障害物をアームロボットが自動で回避し、目的物へアプローチすることができるというもの。この技術を実装したアームロボットを工場に導入すれば、これまで手作業で行っていたピックアップ作業を自動で行うことができるという。さらに、自動搬送ロボットとこの障害物回避型アームロボットと併用して施設内に導入れば、互いに衝突することなく協働することができるため、大きな期待が寄せられている。

PAGE TOPへ