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スペースシェアリングサービス テレワークの需要にこたえる「TIMEWORK」

2020.01.06 17:18

東京建物、日鉄興和不動産、日本土地建物、グラフェンユニファイ、リベラが展開
 東京建物(東京都中央区)、日鉄興和不動産(東京都港区)、日本土地建物(東京都千代田区)の3社は、不動産テックベンチャーのグラフェンユニファイ(東京都渋谷区)及びAIベンダーのリベラ(東京都渋谷区)と共同でシェアオフィスのスペースシェアリングプラットフォームを開設した。サービス名は「TIMEWORK(タイムワーク)」。
シェアオフィスを展開する事業者が同じプラットフォームに施設を加盟登録。登録企業は各施設を自由に利用できるスペースシェアリングサービスだ。これまでは、各シェアオフィスの事業者及び施設と個別に契約することが主流だったが、一方で契約した施設しか利用ができない不便さに課題があった。特に昨今は「働き方改革」の流れを受けて、テレワークやリモートワークの需要が増加。「自宅近くで働きたい」だけでなく、「営業先でもデスクワークできる環境が欲しい」といったニーズが伸びている。こうした需要に応えるべくデベロッパー3社が協働し、新たなプラットフォームの開発・提供を始めた。
 東京建物のシェアオフィス事業担当・谷口誠氏は、3社を代表し次のように語る。
 「企業の『働き方改革』に貢献するためには、シェアオフィスの機能性や快適性、システムの使いやすさ、就業管理が可能であること等の他、拠点数が多いことが重要です。これら全てにつきスピード感をもって達成するには、独自展開だけでなく大同団結が必要と考え、このメンバーが集結しました。現状では3社の展開するシェアオフィスに加え、複数拠点がプラットフォームに登録されており、今後も一定の機能性やセキュリティなどを完備していれば、他社の事業者にも積極的に加わって頂きたいと考えています。拠点数が増えれば、益々シェアオフィスの利用企業の「働き方改革」に貢献できるでしょう」。
 TIMEWORKは、利用企業が複数の事業者が運営する施設を一契約で全て利用可能。スマートフォンやPCからポータルサイトを利用して、使いたい施設を選択し予約するだけ。完全従量課金制なので、企業の導入ハードルも低い。また、企業の管理担当者は利用者の履歴も確認でき、就業管理にも活用できる他、利用企業への請求・シェアオフィス事業者への送金などもTIMEWORK側が実施するため、利用企業・加盟店舗双方とも面倒な業務がない。
シェアオフィス事業者及び施設にとって、施設の稼働率向上に繋がることが最大のメリット。入退館を管理するタブレットとQRコードリーダーは、TIMEWORKから貸与されるため、初期投資はなく、PCの用意のみ。テレワークのニーズを満たすことが可能なスペースや機能性を有していれば、ビルオーナーの参加も可能。ビルの付加価値としても効果的である。
 特に、中小ビルオーナーが新規にシェアオフィスやコミュニティスペースを作り上げ、収益性を確かにしていくことは簡単ではない。TIMEWORKのネットワークに加盟すれば、追加的な手間やノウハウなく、既にTIMEWORKが有している顧客からの利用料の獲得が期待できる。そのほか、主要なオフィスエリアから離れた郊外等でも送客が期待できる等、ビルオーナーにとってメリットの多いプラットフォームである。
 谷口氏は、「シェアオフィスの加盟施設数は2021年までに100拠点を目指します。節目は東京オリンピック・パラリンピックの時期。都内での移動が制限される時期に需要が高まるのではと思い、既存のシェアオフィス事業者の他、ビルオーナーなどにもスペースの有効活用として提案してゆく方針です。ビル内でサービスオフィスの開始・開設を検討している場合は是非とも連絡が欲しい」と語った。

担当者コメント
東京建物 谷口氏
 当社は2017年に「+OURS(プラスアワーズ)」を「東京建物八重洲ビル」、「新宿センタービル」に開設し、シェアオフィス事業をスタートしました。フリーランス、スタートアップや大手企業のプロジェクトルーム等通常のオフィスでは応えることができなかった需要に応えることができております。今般、更にテレワーク需要に早期に応えるべく、TIMEWORKのプラットフォームの実現に至りました。

日本土地建物 松井氏
 当社は2016年より千代田区・中央区・港区においてオープンイノベーションオフィス「SENQ(センク)」4拠点を展開しております。社会構造の変化(生産年齢人口減・ICTの進展等)により、ワークプレイスに対するニーズの多様化は加速度的に進展しており、複数社で協力することが利用者である顧客目線で考えた時の最適な解(多様なオフィスバリエーションの供給・スピードへの対応が可能)だと感じたことがTIMEWORK参画の契機となりました。参加事業者を増やすことで、よりメリットを増やすことができると考えています。

日鉄興和不動産 伊藤氏
 2018年末からシェアオフィス事業の開始を検討し、2019年9月に「日鉄日本橋ビル」に「WAW(ワウ)」1拠点目を開設しました。現在日本橋と赤坂の2拠点を運営し、テレワークの需要に応えております。利用者の皆さまの利便性向上には拠点数拡大が必要ですので、複数の事業者の施設が連携し実質的に拠点数拡大を達成するTIMEWORKは、「WAW」利用企業にはもちろん、弊社にとっても魅力的なサービスだと感じています。

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