週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

不動産CF注目案件 CREAL 沖縄専門学校投資案件をリリース

2019.12.09 14:41

約1週間で募集額の9割調達完了
 不動産投資クラウドファンディングサービス「CREAL」をスタートさせたブリッジ・シー・キャピタル(東京都中央区)は、11月25日より「第24号沖縄専門学校ファンド」の募集受付を開始した。募集総額は8億3800万円。2020年1月1日~2021年6月30日までの1年半の運用期間。想定利回り(年利)で5・0%となっている。募集期間は12月24日まで設定されているが、12月2日現在で7億5000万円の出資が集まり9割に届く水準となっている。
 今回のファンドは沖縄県宜野湾市に立地する専門学校、SOLA沖縄保健医療工学院ならびにスターウッドBeB美容専門学校の土地建物が投資対象となる。
 代表取締役社長の横田大造氏は今回のファンドが立ちあがった背景について「専門学校を運営する学校法人のSOLA沖縄学園の、社会のため、そして沖縄のためによりよい学校を作り上げようとする真摯な運営姿勢に共感して始まった案件でした」と明かす。話は半年前にさかのぼる。専門学校関係者から「今後の更なる発展を見据えて、介護や看護の新規学科の新設や将来的な保健医療分野の専門職大学への移行を目指している」という意向を聞いた。
 「『CREAL』はESG不動産投資をひとつのコンセプトに掲げています。これは『社会問題の解決にもつながる』不動産投資ができるプラットフォームを実現していくということです。SOLA沖縄学園では土地建物を売却することで、更なる成長資金の調達の足掛かりをつくることを考えていました。学校法人のセールアンドリースバック案件への取り組みはREITも含む不動産ファンドとしては非常に珍しく、不動産投資クラウドファンディングでは恐らく初の事例です。当社としても挑戦的な事例でしたが、安定的な収益性の検証を多角的に実施のうえ、本件取り組みの社会的意義を考慮して今回のファンド募集につなげていきました」(横田氏)
 一方、「共感だけでは投資家は集まらない」とも指摘する。投資効果との両立が必須となる。今回のファンドの年間利回りは5・0%。関連会社のブリッジ・シー・エステートが20年のマスターリース契約を結ぶことで配当の安定化をはかるなど、投資家への安心感も醸成している。少子高齢化が進む日本だが、沖縄の特殊出生率は2017年の合計特殊出生率は1・94。この数字は全国第1位で、1985年以来トップを守っている。横田氏は「全国的に高等教育・専門教育の需要は引き続き堅調に推移しており、教育への需要は今後も堅い」と話す。このようなデータが投資家からの人気を集めることになったようだ。このような案件だけに出口も堅く、事業法人や個人投資家を想定している。
 同社は不動産投資クラウドファンディングの累計調達額でNo.1となっている(2019年6月期 不動産特定共同事業許認可におけるクラウドファンディングサービス運用資産残高調査による)。このファンドが成立すると、累計調達額は30億円超となる。最近では「投資家からの旺盛な投資需要に応えていくこと」が課題となっている。
 「現在、月2件ほどのペースで案件を出しています。ただ旺盛な需要に追い付けていないのが現状です。今後は募集総額の大きい案件を積極的に出していきたいと考えています」(横田氏)
 多くの不動産業者が参入する不動産投資クラウドファンディング。「CREAL」の案件は投資家にとって差別化された魅力的な案件として、引き続き人気を集めそうだ。

PAGE TOPへ