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第一興商 「働く場所」を提供開始 カラオケでテレワークを当たり前に

2019.11.25 11:10

 第一興商(東京都品川区)は先月29日より、「オフィスボックス」事業を自社の運営するカラオケルーム「ビッグエコー」全店(葛西店、行徳店除く)で開始した。「オフィスボックス」とは、カラオケボックスをワークスペースとして提供するサービス。2017年の4月から、有楽町や品川など都心を中心とした50店舗ほどで試験的に行っていた。

テレワーク・会議にアプリ使い経費精算も
 オフィスボックス事業を始めたきっかけについて、店舗事業推進部店舗企画課課長の川崎敏史氏はこう語る。「場所にもよりますが、平日の昼間は空室の目立つ店舗がある。そこで空室対策として仕事で場所が必要な方のために開放しようと考えたのが発端です。理由のもう一つは『働き方改革』の推進。働く方に場所を提供することで、当社も『働き方改革』に一役買えるのではないかと感じました」。
 ドロップイン利用は勿論、法人提携をすることも可能となる。実際に法人からも反響は大きく、毎日問い合わせがくる状況だ。提携した法人には無料でオフィスボックスのアプリを提供。アプリには会社の社員ナンバー等IDが割り振られ、利用ごとの会計が不要で、利用料金は企業に一括請求する。オフィスボックスを利用した際には、利用店舗・時間がデータとして記録される。同社は法人の管理者にその利用データを提供する。そうすることで、経費精算の効率化と勤怠管理に役立つというものだ。アプリは先月リリースし、既に数社導入することが決まっているという。
 さらに、テレワークだけでなく打ち合わせや会議に利用することも可能。川崎氏は「従来は『たった数百円の出費のために会社に経費報告するのは気が引ける』、『飲食代を会社に払ってもらうことにためらいがある』という理由から、打ち合わせをカフェや飲食店などで行った際に経費の精算ができない一面がありました。しかし『オフィスボックス』を利用した際にアプリやレシートに用途がしっかりと明記されることで、利用者の心理的にも経費精算をしやすくなるのではないでしょうか」と期待を膨らませる。
高性能スピーカー貸出 設備投資の今後
 見どころはそれだけではない。一部店舗ではヤマハ(浜松市中区)のリモートワークに最適なポータブルスピーカーフォン(YVC-200)の貸し出しサービスも行う。この取組について川崎氏は「例えばネットでweb会議等のやり取りを行う際、パソコンのスピーカーでは音が不鮮明になったりすることがあります。スピーカーフォンをパソコンにつなぐことで、話し手の声を鮮明に拾うことができるのです」と語る。
 さらに「社内研修の際にも、ビッグエコーを使っています」と語る川崎氏。トレンドを敏感に察知し常に業界の先を歩んできた同社の今後の展望はどうか。「現在の設備でもテレビモニターやプロジェクターで中継し、テレビ電話のような感覚でわざわざ会社に行かなくても会議を行うことができる。その様に使っていただくことでがもっと広まれば働き方改革もさらに進むのではないか。机やソファはまだカラオケ仕様だが、オフィスボックスのニーズが今後ますます高まるようであれば、会議用のファシリティも用意したい。カラオケといえば今は歌を歌うところだが、これからは『働く場所』としても浸透していくと嬉しい」(川崎氏)。
 「オフィスボックス」は果たして人々がカラオケボックスに抱くイメージに一石投じる存在となるか。今後の動きに注目したい。

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