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遠藤硝子 歴史あるガラス工事業者 一人一人の顧客を大切に

2019.11.11 12:11

 1919年(大正8年)よりガラス工事業を営む遠藤硝子(東京都墨田区)。主に商業ビルや事業用物件のガラス工事を行ってきた同社の近況を追う。
断熱ガラス導入好二 依頼者からは喜びの声
 代表取締役の遠藤俊氏は「当社は日本板硝子(東京都港区)の真空ガラス『スペーシア』の導入を薦めています。『スペーシア』は2枚のガラスの真空層により、従来の1枚ガラスと比べ断熱性能が高く結露もできにくいのが特徴です」と語る。
 一方で、このようなジレンマもある。「当社への問い合わせが10あるとすると、そのうちの7は損傷したガラスの取り換え工事や修繕、2がテーブルガラス等日用品系ガラスの依頼、そして残りの1が『スペーシア』などのガラス製品の導入依頼といった割合です。機能性の高いガラス製品を用意していても、まだまだ依頼が伸びていないのが現状です」(遠藤氏)。
 一般の居住者からの依頼が伸び悩む断熱ガラス工事。だが、ビルオーナーからの評判は上々だという。「断熱ガラスは、従来のガラスと比べ結露ができにくく、ガラスの温度も気温に左右されにくい。そのため、部屋の室温が一定に保たれやすいのです。実際に当社で断熱ガラスの『スペーシア』を導入した方から、『ガラスを取り換えたことで壁紙が長持ちするようになった』との声が上がりました。従前窓ガラスとして使用していた1枚ガラスだと、壁紙が外気の湿気でダメになってしまったようです。ところが『スペーシア』に変えたところ、外気の影響をほとんど受けなくなり、壁紙も湿気らなくなったとのことでした」(遠藤氏)。
一般居住者に寄り添い災害時にも迅速に対応
 先日起きた大型台風15・19号は、各地で猛威を奮った。同社にも、台風によって破損した修繕工事の依頼が多く来たという。
 「工事依頼から完了までは近場だと早くて1日で終わりますが、遠いと1週間かかることもある。ただし緊急性の高い場合には取り急ぎ着手することもあります。台風で被害を受けた千葉方面の方から、ガラスが損傷したので修繕してほしいとの依頼が多くありました。10月終わりごろにようやくその修繕作業も落ち着いてきたところです。当社は東京都墨田区にありますが、関東エリアを対象として駆け付けています」(遠藤氏)。
 こういった一般居住者からの依頼は、管理人経由かネットで探してたどり着いたケースが多いという。遠藤氏は一般居住者への同社サービスのアプローチについて語る。「当社への依頼の95%はゼネコンです。もともとは商業ビルなど法人やオーナー向けにガラス工事を行っていましたが、時代の流れを鑑みて一般の方にも当社のガラス工事を利用して頂こうと考えました。会社HPでの宣伝は勿論のこと、ブログの運営や近隣へのポスティングも行っています。その中でも、一番集客効果を実感できるのはやはりネット。ガラス工事に必要なおおよその費用もネットに載せているので、わかりやすいみたいです。今のガラス工事・販売の主流は『機能のあるガラス』。今後、一般の方に対してもさらにアプローチを行っていきたいと考えます」(遠藤氏)。
 創業から今年で100年を迎えた同社。一般居住者の困りごとの声にも耳を傾け、地域に根ざした企業として歩みを進めていく。

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