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太陽光発電設備保守管理にIoT試験運用 三井不動産「ららぽーと柏の葉」等で導入

2019.11.11 12:21

 三井不動産(東京都中央区)は、ヒラソル・エナジー(東京都文京区)が提供する太陽光発電設備の保守管理IoTプラットフォームの試験運用を、千葉県柏市の「柏の葉ゲートスクエア」および「ららぽーと柏の葉」において2020年1月から開始する。
 今回の試験運用は、三井不動産が関わるイノベーションアワード「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)」において、2018年、ヒラソル・エナジーが「第3位」および「柏の葉賞」を受賞したことが契機となった。ヒラソル・エナジーは、東京大学大学院情報理工学系研究科の落合秀也准教授の研究結果である「電流型電力線通信技術(PPLCTM―PV)」を実用化する目的で、2017年2月に設立された東京大学発ベンチャー。PPLCTM-PVに基づく太陽光発電用IoTシステムおよびAIソリューションの開発を行う。
 三井不動産は、2005年から「柏の葉スマートシティ」まちづくり事業を推進。「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマのもと、公・民・学の連携による様々な取り組みが行われているが、2014年からは太陽光発電や蓄電池などの分散電源エネルギーを街区間で相互に融通するスマートグリッドを運用。省エネルギー、CO2削減などに取り組んでいる。現在「柏の葉ゲートスクエア」および「ららぽーと柏の葉」には、太陽光発電設備のパネルを合計で2800枚設置。その太陽光発電設備の保守管理の効率化を目的として、ヒラソル・エナジーのIoTプラットフォーム「PPLCTM―PV」の試験導入を決定した。
 太陽光発電設備では、パネル1枚の不具合が全体の発電量に影響を及ぼす。しかし、そのパネルの特定のためには、全てのパネルを点検するしかなかった。「PPLCTM-PV」は、パネル1枚毎に外付けのセンサーを設置。センサーから収集した電圧や温度などのデータを分析し、パネル1枚単位での異常検知を可能とする。パネル毎の不具合を素早く把握し対応することで、設備の検査コストやパネルの定期的な交換にかかるコストを削減。安定的に発電量の最大化を実現することにもつながる。
 より効率的なクリーンエネルギー活用が進むことに期待したい。

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