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日立製作所/日立ビルシステム AIでエレベーターの利用人数を予測

2019.10.15 14:37

 日立製作所(東京都千代田区)と日立ビルシステム(東京都千代田区)は、複数台のエレベーターの効率的な運行を実現する人流予測型エレベーター運行管理システム「FI―700」を開発した。 このシステムは、AIの活用により過去の膨大な運行データからエレベーターの利用人数(人流)を予測。昼食時などの混雑時の平均待ち時間をこれまでの同社製品に比べ最大20%低減できるという。さらに、監視カメラなどのビル設備とのデータ連携が可能で、ビル内移動におけるイノベーションの可能性も探る。今後、詳細な仕様の開発を進め、2020年4月に国内外で販売を開始する予定。
 大規模な複合ビルでは、複数のエレベーターを効率よく配車するための運行管理システムが必須である。日立製作所は1972年に業界初の即時予約システムを導入して以来、業界をリードして制御アルゴリズムの高度化を図り、高性能な運行管理システムを提供してきた。
 「FI―700」は、一人ひとりの無意識な行動データをもとにAIが予測することで、快適な移動環境を提供する次世代のエレベーター運行管理システム。各時間における各階でのエレベーター呼びだしのタイミングや、乗降者数をはじめとする過去の膨大な運行データをAIで解析。各階での利用人数を予測することで、混雑が予想される階に集中的に配車するなど、効率的な運行を実現する。
 また、朝の出社時間帯などに利用者が集中するエントランス階で自動的にエレベーターの呼びだしを登録する「自動登録運転」や、エレベーター内カメラの映像から満員に近いと判断されるエレベーターは途中階を通過させる「満員時通過運転」など、ビルの利用者に快適な移動環境を提供する多様な運転モードを用意し、最大で16台のエレベーターの制御を実現している。さらに、監視カメラによる人数データを活用するなどビル内設備とも連携し、より快適にビル内を移動できるよう機能性を高めていく計画だ。
 日立と日立ビルシステムは、今後もAIやIoTをはじめとする最先端のデジタル技術を製品・サービスの開発に幅広く活用。安全・安心・快適な昇降機や、都市空間におけるさまざまな課題解決に貢献するサービスをグローバルに提供するとしている。

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