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安藤ハザマが危険予知システムを構築 ライフビジネスウェザーと共同で

2019.10.15 14:35

気象情報から労災を推測し現場へ配信
 安藤ハザマ(東京都港区)とライフビジネスウェザー(東京都中央区)は、気象情報から現場で起こりやすい労働災害を推測し、注意喚起情報を配信する気象危険予知システム(KKY)を共同で開発した(特許出願中)。
 建設現場では作業前の危険予知活動(以下、KY活動)で、現場の状況や気象情報などから起こりうる労働災害を想定し、例えば気温と湿度が高い場合は熱中症対策を講じるなど、労働災害の未然防止に取り組んでいる。
 両社はこれまで注目されてこなかった他の労働災害と気象との関係性に着目。労働災害データと気象データの相関を分析した結果、データ同士に関係性があることを見出しこのシステムを開発した。
 同システムでは、過去の労働災害データと気象データを組み合わせ、労働災害が発生しやすい気象条件を特定するためのデータベースを構築。そのデータベースと日々の天気予報を対比することで起こりやすい労働災害の型を推測し、その情報、例えば「激突災害」や「墜落・転落災害」などの注意喚起情報を配信する。さらに、労働災害の過去事例や生気象学(気象と人の暮らしの関わりを研究する学問)から考察した、身体への影響に関する情報も同時に配信するという。
 安藤ハザマでは現在、同システムを複数の現場に導入し、現場のKY活動に活用。従来のKY活動では想定される労働災害が自分の経験した事象に偏る傾向が見受けられたが、同システムの導入によりデータ分析に基づいた客観的な情報を得ることができるので、これまで気付かなかった潜在的な事象に対しても、危険予知およびその対策を講じることが可能だ。現場職員はこの情報を活用することで、これまでより幅広い視点をもって安全作業を指示することができ、作業員は起こりやすい労働災害を具体的に意識した行動を設定できる。
 両社は今後も本システムを積極的に現場に展開するとともに、データベースを拡充し、性能のさらなる向上を図り、異業種間で保有された情報の有効活用、マッチングなど、データサイエンスを通じて新しい価値の創造を実現していくとしている。

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