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ギガプライズなど3社が共同開発 既存集合住宅向けISPサービス「SPES」を来年1月提供開始

2019.10.07 14:43

 ギガプライズ(東京都渋谷区)は、 NECネッツエスアイ(東京都文京区)、Broadcom Inc.(米国サンノゼ市)と連携し、既存の集合住宅向けISP(インターネット接続)サービスとなる「SPES(Single-Pair Ethernet Service、エスピーイーズ)」を共同開発した。2020年1月末より販売を開始する予定だ。
 SPI(シングル・ペア・イーサネット)と呼ばれる、1ペアのメタリックケーブルでEthernet通信を実現する新技術を活用。既存物件においても、従来の電話回線を使用することで、工事の必要もなくインターネット接続が可能となる。ギガプライズ調べによると、9月11日現在で世界初の集合住宅向けISPサービス。
 「SPES」開発の背景には、新規マンション供給戸数が減少傾向にある一方、マンションストック戸数が増加を続けているという現状がある。MM総研(東京都港区)が9月10日に発表した「全戸一括型マンションISP調査」によると、「全戸一括型マンションISP全体の加入件数(提供戸数)は272・9万戸で、既築の賃貸物件向けの導入が進んだことから2018年3月末比21・0%増と大きく伸びた(3月末)」としており、インターネット接続サービス導入のニーズが一層高まっていることがわかる。しかしながら、企業や物件オーナーは既存物件の資産価値向上を目的として、ISPサービスの導入を検討するものの、経済的コスト・工事調整による時間的コストの課題が大きかった。
 そこで、上記3社は、既存電話線を用いてインターネット接続が可能とする「SPES」をオープンイノベーションにより共同開発。短期間でインターネット接続を可能とした。電話用2芯ケーブルを活用することで、新たな屋内(宅内)工事も不要。宅内装置からWi-Fi環境も提供できる。共用部に設置するセンター装置から宅内装置へ電源供給が可能なため、宅内装置ではACアダプタ等の電源も必要としない。従来通信技術に比べ、省エネ、小型化、低コストも実現している。今後、物件のリノベーションを考える企業やオーナーにとって、注目の技術と言えるだろう。

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