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ロボットによる外壁点検システム

2019.07.22 11:53

 高松コンストラクショングループの高松建設(大阪市淀川区)および青木建設(東京都千代田区)は、非破壊検査(大阪市西区)と共同で、建築構造物壁面の点検技術向上を目的とした「壁面走行ロボットによる外壁点検システム」を開発し、8月より実際の建物で運用を開始すると発表した。
 近年、築年数の経過した建物の増加とともに、劣化等による外装タイルの剥落事故が懸念されている。2008年に改正された建築基準法では、ビル等の特殊建築物の所有者・管理者に対して、外壁の検査を実施することが義務づけられた。
 一般的な外壁の検査方法は壁面全面を打診し、その音の異常を技術者が聞き分けて診断する。足場の架設やゴンドラやロープで上から技術者を吊って実施する必要があり、建築主にとってコストや工期面での負担が大きかった。検査結果も検査員の技量や経験に影響されることから、ロボット等の活用による検査の効率化と診断精度の向上が求められていた。
 今回3社が共同開発した外壁点検システムは、壁面走行ロボットが壁面を自走して壁面を打診し、診断結果をデータ化し分析・蓄積することで、より高精度な診断を実現するもの。ロボットは、中心部に空気を吸引するための「バキュームチャンバー」を持ち、壁面を吸着しながら周囲のローラーを回転させて進む仕組みで、壁面の材質にかかわらず走行が可能だ。
 ロボット本体は長さ610mm、幅533mm、高さ440mm、重量30kg程度と比較的小型で、設置や操作方法も簡易なため、規模の小さな建物や隣地境界と空きの少ない建物の検査に適しているという。打診測定機やカメラも搭載され、建物外壁面の打診とカメラ撮影により、タイル剥離やクラック等の検査を行い、正確な劣化位置をデータ化し、パソコンで外壁面の劣化状況を図示化する。計測データは経年変化の累積情報として蓄積し、改修履歴とともに保存。将来の建物維持管理計画にも活用できる。

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