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「茶室リョカンアサクサ」オープン 茶室をイメージしたインバウンド向け都市型旅館

2019.07.22 12:00

 レッドテック(東京都中央区)は、花街の雰囲気が色濃く残る浅草観音堂裏エリア(奥浅草)に、インバウンド向けの宿泊施設「茶室ryokan asakusa(チャシツ・リョカン・アサクサ)」を7月20日にソフトオープンした。地下鉄・東武線「浅草」駅、つくばエキスプレス「浅草」駅の2駅が徒歩圏内で、下町散策も楽しめる立地となっている。
 全10室それぞれデザインが異なる畳み敷きの客室は、天井を低く抑えたミニマルな空間。包み込まれるような不思議な落ち着きのあるスペースには、日本の居室文化の中で育まれた工夫が詰め込まれている。奥行きを生む「手漉き和紙の障子」、「季節を感じさせる掛花」、「内と外を曖昧にする坪庭」、「風炉先屏風や襖、御簾」など、日本独自の間仕切り文化を体感できる。最上階の客室には、東京スカイツリーや浅草の街を望む露天風呂を設置する。
 建築デザインは、自然と建築を一体的に捉えた設計が特徴の建築家・前田圭介氏。「庭屋一如」の考え方から茶室、路地、坪庭といった日本らしさを現代的に解釈し、「江戸らしさ」を感じる外部環境を内包した積層空間を創出。都心の草庵として露地に見立てたエントランス、足湯のできる待合、にじり口を彷彿とさせる小さな扉から入る客室など茶室の構成要素をモチーフにした館内は、日本の情緒、エキゾチズムに没入できる新しい都市型旅館を目指した。
 アートディレクション・VIデザインを手掛けたのは北川一成氏。「茶の湯」、「一期一会」の考え方から湧き出るイメージを独自のアートとして昇華。オリジナルデザインの浴衣や一階の待合における象徴的なアートワークで、滞在体験をより印象づける。
 もてなしは、茶の湯で主人が客人をもてなすような「お節介」をコンセプトとした。宿泊者を、顔とプロフィールが把握できる人数に抑えたのもそのひとつ。浅草に居住するスタッフが地元ならではのローカルな情報を提供するなど、来日外国人の心をつかむ差別化戦略で宿泊客からの高評価を狙う。

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