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日鉄興和不動産 「日鉄日本橋ビル」竣工

2019.04.01 18:20

「歴史」と「先進性」を兼ね備えた新たなシンボル
4駅21路線利用可能な300坪×15フロア
 4月から社名を新たに変えた日鉄興和不動産(東京都港区)。3月末には、同社の日本橋のフラッグシップビル「日鉄日本橋ビル」と、赤坂エリアで開発を行っていた中規模ハイグレードオフィスビルのブランド「BIZCORE赤坂見附」が竣工した。立て続けに竣工した、2つの開発事業を紹介する。

地域の賑わいや活性化にも貢献
 日鉄興和不動産(東京都港区)が建替えを進めていた「日鉄日本橋ビル」が先月29日に竣工した。
 「日鉄日本橋ビル」が立地するのは中央区日本橋一丁目。昭和通りと永代通りが交差する江戸橋一丁目交差点角地に位置している。同地は旧富士製鐵(現新日鐵住金)が本社を置いた場所であり、1966年に「日鉄日本橋ビル」の前身である「(旧)日鐵日本橋ビル」(地上9階地下2階)が竣工。50余年の歴史を経て、日本橋の「歴史」と「先進性」を兼ね備えた新たなシンボルとして、地上18階建の大規模ビルが誕生した。
 事業は日鉄興和不動産の保有物件である「(旧)日鐵日本橋ビル」の跡地に地上18階地下3階、延床面積は約2万7400㎡、基準階約1000㎡のオフィスビルを建設する。建物は地下鉄銀座線・東西線・浅草線「日本橋」駅と直結しているほか、「東京」駅など計4駅が徒歩圏にあり21路線が利用可能な高アクセス。地下鉄連絡通路のある地下2階には低層用・オフィステナント用それぞれのエレベーターホールを設け、地下鉄からオフィスまでダイレクトにアクセスが可能となっている。
 1階には、モバイルオーダーによる事前注文・決済に特化したテイクアウト専門のコーヒーショップがオープン予定。3階には、シェアオフィスを今秋開設する。テレワーカーが利用できるコワーキングスペースや、多様な目的・人数・期間にフレキシブルに対応できるサービスオフィスを提供する。また屋上には緑化を施したウッドデッキ敷きのスカイテラスを整備。ランチタイムや休憩時間などに利用できる。
 災害時にもビジネスを継続可能とするサポートとして、非常用発電機を備える。非常用発電機は停電時、共有部の一部と貸室内15VA/㎡へ約72時間の電源供給が可能な計画としている。各出入口には水の浸入を防ぐ防水板も用意。さらに各階には災害用備蓄品倉庫を設置している。
 都心3区を中心に全国で74棟のビルを管理・運営する日鉄興和不動産では「日鉄日本橋ビル」をフラッグシップビルとして、「赤坂インターシティAIR」、「品川インターシティ」、「赤坂インターシティ」、「芝浦ルネサイトタワー」などと並ぶ物件に位置づける。同ビル竣工後においても、地域の賑わいや活性化に引き続き貢献するとしている。

シリーズ第2弾の「BIZCORE赤坂見附」
 また29日、中規模ハイグレードオフィスビル「BIZCORE(ビズコア)」シリーズの第2弾となる「BIZCORE赤坂見附」が竣工した。
 東京23区内のオフィスストックのうち、中小規模オフィス(基準階床面積50~200坪)の割合は約32%(約320万坪)である。このうち築20年以上のビルは約35%(約270万坪)を占めており、旧耐震基準で建てられたものも数多く存在している。また東日本大震災以降、企業のオフィス移転において耐震・防災・BCPを重視する傾向が強まっている。この様な現状を踏まえ、これまで都心を中心にオフィスビルの開発・運営で培ってきたノウハウを生かし、中規模ハイグレードオフィスビル「BIZCORE」シリーズの開発を始めた。
 「BIZCORE赤坂見附」は延床面積3741・83㎡、地上10階地下1階のオフィスビル。地下1階は東京メトロ「赤坂見附」駅と直結し、テナント専用のエントランスを設置した。賃貸フロアは約80坪の整形無柱空間を実現し、天井にはブレースを設置。災害時の落下防止を図っている。またエントランスホールの入口には無人受付システムを取り付け、メインエントランスから各フロアの室内に至るまで最大5段階のセキュリティを設けた。共用部の各所にITV(監視カメラ)も設置し、防犯への備えも万全である。また屋上庭園はテナントに開放。植栽が施され、オフィスワーカーのランチタイムや気分転換などに利用できる。
 事業開発本部・事業開発第二部長の奈良敦氏は「BIZCOREは主に竣工前からリーシングを行うのではなく、一度テナントにはビルの内覧を行って頂き満足してからの入居を勧めております。現在の制約状況は約50%ですが、引き合いは強く満室稼働ももう間もなく迎えると思われます」と語った。ちなみに成約は高層階から決まり、テナントは「赤坂見附」駅近隣からの移転が多いとのこと。
 第1弾の「BIZCORE神保町」、今回竣工する「BIZCORE赤坂見附」のほか、今年中には築地と渋谷、また今後は神田エリア等での開発計画を進めている。

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