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三菱地所 AI搭載ロボット、ビル管理の現場で活躍

2018.09.14 10:56

今後、不動産業界においても働き手の人手不足が課題として挙げられている。その代替案として注視されるのが「ロボット」。デベロッパーの三菱地所(東京都千代田区)は、ロボットを使用した警備・清掃・管理においての実証実験を開始した。

警備・清掃・運搬を担う複数のロボット
三菱地所(東京都千代田区)は「横浜ランドマークタワー」において、新しい施設運営管理の実証実験を始めた。それも人工知能(AI)などを搭載した、警備・清掃・運搬を担う複数のロボットによる実証実験である。
 同実験は今月3日~16日までの2週間にわたって行い、人手不足社会の到来を見据えて、ロボットが活躍する新たな施設運営管理のモデル構築を目指すものである。ロボットは警備・清掃・運搬と分野別に分かれており、延床面積約40万㎡・地上70階地下4階の広大な建物における実験を通じて、効率的かつ付加価値の高い次世代型の管理モデルの構築を意識する。
 実験に使用されるロボットは4種類。例えば警備面では、同社が出資するSEQSENSE(川崎市多摩区)が開発した自律移動型ロボット「SQ2.」が導入。同ビルのオフィスフロアや商業ゾーン「ランドマークプラザ」の巡回警備を担当し、実験期間中は実際の警備員を1名削減して検証を行う。また「SQ2.」は独自の3Dレーザーセンサーを活用した自律走行が可能。巡回の度に正常な状態との差分から、環境の変化を自動的に認識し異常を発見する。ロボット本体にはカメラも取り付けられており、遠隔からリアルタイムで警備状況を把握できる。
 運搬面ではドイツの企業が開発した追尾運転機能を持つ「PostBOT」と、フランスのロボットメーカーが開発した「EffiBOT」を使用。「PostBOT」は、商業ゾーン「ランドマークプラザ」に出店する飲食店の弁当などを上層階のオフィスフロアへ運ぶ際の使用に想定している。人について走る追尾運転機能なため必ず先導者が必要。だが、ロボットのBOXを使用すれば従来よりも沢山の弁当を運ぶことが可能だ。また「EffiBOT」は、最大積載重量300kg(適正は150kg)の荷物運搬担当のロボット。高潮などによる水害時に、土嚢を運ぶ運搬車にもなるため、防災面での採用を想定している。今後は、これらの実証実験で得たデータを生かし、同社が所有・管理する全国の物件で展開していくことを目指す。
従業員の生産性向上と働き方改革を支援
 また同社は3日、大手町の本社事務所において、従業員の生産性向上・働き方改革を支援する2つの取り組みをスタートすると発表した。
 1つ目として、日本電気(東京都港区)の協力のもと、顔認証技術を活用したオフィスサービスの検証を行う。9月中旬より本社の一部のセキュリティ扉並びにセキュリティゲートに顔認証技術を導入し、セキュリティ通過時のシームレスな移動を体感することのできる空間を創出。将来的には、「東京駅前常盤橋プロジェクト」をはじめとしたオフィスビルの商品企画に活かしていくという。
 2つ目の取り組みとして、TPO(東京都港区)と提携し、8月20日から従業員のプライベートを支援する従業員向けコンシェルジュサービス「ユア・コンシェルジュ」を試験的に導入した。社内に常駐するコンシェルジュが従業員の代わりに様々な手続きやリサーチを代行し、公私共に調和の取れた職場環境の創出を目指すもの。
 相談内容は平日に対応が必要な役所への問い合わせから、プライベートの充実を図る旅行や習い事のリサーチまで、多種多様なものを想定しており、今後丸の内エリアを中心とした就業者向けサービスへの展開を検討していく。同サービスの運用は11月19日までとしている。

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