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「オフィスシェアノススメ」 先月8日にサイトオープン

2018.09.03 17:29

 オフィス賃貸に新しい文化が根付くかもしれない。
 築古ビル再生のバリューレイズ(東京都港区)は8月8日にスタートアップや小規模企業を対象に、知人や取引先とオフィスのシェアを可能にすることをサポートする「オフィスシェアノススメ」をオープンした。
 不動産業界では従来、契約書で転貸を禁止していることが多い。現状ではスタートアップやベンチャー企業同士でオフィスを間借りしていることが見受けられる程度だ。
 一方で需要は一定層ある。代表取締役の石田竜一氏は「ベンチャー、スタートアップもそうだが、もうひとつ例を出せば外国人です」と指摘する。外国人にとって日本で事業を起こしオフィスを借りるとなれば、色々と不安も大きい。「起業している同郷の経営者などと一緒にオフィスを借りることができれば、より安心感をもって借りられる環境になるのではないか」と話す。
 同社が今回「オフィスシェアノススメ」をスタートした背景には、普段のコミュニケーションのなかで聞いたテナントのストレス要因だった。
 そのなかには「喫煙所がない」、「更新料が高い」などといった声が並んでいる。石田氏によると「これらの声を可能なものに関しては当社の管理物件において反映している」という。たとえば「更新料が高い」といった声に対しては、「ある物件では更新の際にギフトをお送りすることを始めたりしています」という。オーナーにとって更新料は「ボーナス」。急になくすことはできないし、オーナーとの交渉も必要だ。それでも長期入居につながるメリットも大きい。
 「業界の慣習にとらわれていると、『サービス業としてどうなのか』という疑問があります。全てとはいかないまでも、テナントの要望を取り入れたオフィス、あるいは契約のあり方を実現することで、オーナーにとっても少ない初期投資で高い付加価値をつけることができると考えています」(石田氏)
 今回スタートした「オフィスシェアノススメ」も「ビルオーナーにとってテナント候補の間口が広がる」(石田氏)という。
 これらの新しい賃貸文化が業界内で大きなうねりとなるか。石田氏は「現状、『オフィスシェアノススメ』内に掲載している物件は自社の管理物件のみ。これを外部にも広げていくことで風をつくっていきたい」と話す。
 起業需要高まる昨今。中小ビルの貸し方も一工夫必要なことは確かだ。

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