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エリアリンク ストレージファンド組成で市場拡大加速へ 将来的にはリート立ち上げも

2018.08.06 16:36

 ストレージ業界が新たな1歩を踏み出した。エリアリンクが2018年、ストレージ特化型のファンド組成を発表。7月には2号目を組成。将来的にはリートの組成も目指していく。
 日本で広がりを見せるストレージ。2017年現在には657億円の市場規模となり、2020年までには777・9億円までの拡大が見込まれている。国内ストレージ業界最大手のエリアリンク(東京都千代田区)は市場規模拡大の更なる加速に向けて、今年、国内初のストレージファンドを組成した。
 同社では3月にりそな銀行、長谷工不動産投資顧問と「合同会社ハローストレージファンド1号」を組成。ファンドポートフォリオに4物件を組み込み、組成規模は約20億円。その4カ月後の7月には「合同会社ハローストレージプレミアムファンド」を組成。3物件を組み込み、組成規模は約20億円。
 国内初のファンド組成について取締役営業本部長の栗野和城氏は「日本のストレージ普及加速に向けて弾みがつくのでは」と期待を見せる。念頭にあるのは米国でのストレージ普及の背景だ。
 「米国でストレージが普及した背景にはファンドやリートが果たした役割が大きいものでした。投資家から資金を調達することで出店を加速させることで、ストレージ業界の基盤強化につながったと言われています」(栗野氏)
 これまで国内でストレージに特化したファンドの組成が難しかったのは金融機関からの評価だった。日本国内でストレージというジャンルが未成熟であるとともに、組成するとなればファンドの規模や運営能力も必要となる。同社は首都圏を中心にストレージ(ハロートランク、ハローコンテナ)などの「ハローシリーズ」を展開、全国1685拠点、総室数8万5005室(2018年6月現在)の出店・運用を行う。国内トップの数字、実績が今回の共同での設立となった。
 今後の展開について栗野氏は「年度で2つのファンドを組成していくとともに、リートの立ち上げも目指します。私募からになるだろうが、いずれは上場して公募型リートにまで成長させていきたい」と話す。
 業界内ではパルマ(東京都)が2017年1月にシーアールイーなどの共同出資によって日本パーソナルストレージを設立。将来的なパーソナルストレージREITの運営を目指す。
「業界全体でストレージ普及の流れをつくっていきたい」(栗野氏)。
 新たな成長ビジネスとして、幅広い投資家から注目を集めそうだ。

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