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SATAS 第66回不動産フォーラム開催 中小ビルの築古化、オーナーの高齢化が顕著に

2018.05.28 18:29

 深刻な問題となりつつある建物の老朽化と所有者の高齢化。22日に開催された「SATAS 第66回不動産フォーラム」にて「オフィス市場の現状と将来」をテーマにフォーラムが開催された。ビルオーナーへの調査結果も示され、新しい貸ビルの傾向も伺える。

 22日、アットビジネスセンター東京駅で「SATAS 第66回不動産フォーラム」が行われた。テーマは「オフィス市場の現状と将来」。講師はザイマックス不動産総合研究所(東京都千代田区)の代表取締役社長の中山善夫氏だ。
 「東京のオフィス人口は約3800万人です。ソウルや上海、ニューヨークなど世界的な都市と比較しても、最も多い人口です。またオフィスストックでも東京は群を抜き、ニューヨークの2倍、ロンドンの3倍といわれています」(中山氏)。
 全国主要都市のオフィス賃貸可能面積については、東京23区が65%。大阪が17%、名古屋が7%、福岡が5%。東京は日本のオフィスの6割超を占めている。
 また東京23区の中小規模オフィスビル(延床300~5000坪)の大半はバブル期に竣工している。
 「2018年現在の中小規模オフィス594万坪のうち、486万坪(82%)が築20年超えたビルです。一方、大規模オフィスビル(延床5000坪以上)が2000年から65%も増えています」(中山氏)
 バブル期の中小ビルの特長は23区の遠隔地にもオフィスが立地したこと。それらが経年化している。
 また2017年には同社と早稲田大学が共同でビルオーナーについての調査を行った。
 中山氏は「中小規模オフィスビルの経営者の6割が60歳以上です。そして保有棟数については7割が1~2棟。築年数も20年以上が8割という結果が得られました」という。
 またテナント要望への対応やビル改修やリニューアルについては行われているものの、耐震対策やエネルギー認証の取得などは実施割合が低いことも明らかになった。
 さらにビルオーナーに「オフィス以外で関心のある用途は」とたずねたところ、「時間・短期貸しオフィス」「病院・クリニック」「貸会議室」「店舗(小売、サービス)」の順で関心が高かった。  この結果は働き方改革の影響もありオフィスに求められる要素が変化しつつある昨今であるが、空室が出た際に「時間・短期貸しオフィス」への転換を考えるビルオーナーが今後増えていく可能性を示しているといえる。

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