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住友林業の構想「W350計画」 高さ350mの木造高層建築

2018.02.12 10:58

 住友林業(東京都千代田区)は今月8日、総工費試算約6000億円、高さ350mの木造超高層建築物の実現を目指す構想「W350計画」について発表した。竣工は創業から350周年を迎える2041年を目標とし、計画予定地に東京都千代田区の丸ノ内エリアを挙げる。木材比率9割の木鋼ハイブリッド構造の建築を予定。

 住友林業(東京都千代田区)は今月8日、「パレスホテル東京」で研究・技術開発についての中長期ビジョン発表会を開催し、高さ350mの木造超高層建築物の実現を目指す構想「W350計画」について発表した。
 同社は今月20日に会社設立70周年を迎え、この節目の年に1691年の創業から350周年を迎える2041年を目標に、高さ350mの木造超高層建築の実現を目指す「W350計画」をまとめた。高層建築物は木材比率9割の木鋼ハイブリッド構造で、木材と鋼材を組み合わせた柱・梁の構造に鉄骨制振ブレース(筋かい)を配置するブレースチューブ構造とする。更に建物の一番外側の四周をぐるりと回るバルコニー状のデザインを予定し、地上から建物のバルコニー部分を経由しての高層階まで連続する緑を設けることも計画する。なお計画予定地に東京都千代田区の丸ノ内エリアを挙げ、設計協力会社には日建設計(東京都千代田区)が加わる。
 計画する建築物は高さ350mの地上70階、延床面積は45万5000㎡で、建築面積が6500㎡。更に木材使用量は18万5000㎥を想定し、主な用途として店舗、オフス、ホテル、住宅などの構成も視野に入れる。
 中長期ビジョン発表会では同社代表取締役社長の市川晃氏が登壇し「木造化・木質化と街を森にかえる環境木化都市の実現をめざします。この構想計画は当社研究開発機関の筑波研究所を中心にまとめ、建築構法、環境配慮技術、使用部材や資源となる樹木の開発など未来技術へのロードマップとし、木造建築物の可能性を広げていきます」と語る。
 更に続けて同社理事及び筑波研究所長の中嶋一郎氏が「『W350計画』の総工費は約6000億円と見ており、現在の技術の積上げでは従来型超高層建築物のほぼ2倍と試算できます。当社としては今後技術開発をすることでコストダウンを進めて経済的な実現性を高める予定です。更に『W350計画』には木材の再利用、人にやさしい都市づくり、林業の活性化などといった様々なメリットがあり、耐火・耐震・耐久性能のさらなる引き上げ、建築コストの徹底した削減、新たな部材や構法の開発、資源となる樹木の開発などに注力して、街を森にかえる環境木化都市の構築を目指します」と本計画の詳細についても語った。

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