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CBRE 投資家の関心「中型ビル」へ 新規供給少なく大型ビルより高利回り

2017.10.23 12:45

 CBRE(東京都千代田区)は12日、東京の不動産売買市場における中型オフィスビルの投資対象としての魅力についてまとめた特別レポート「東京中型オフィス売買市場」を発表した。中型ビルの開発事業にデベロッパーが多数参入してくるが、その理由の1つに、中型ビルならではの多角的な投資メリットが存在するからだろう。

 レポートによると2018年以降、東京のオフィス市場では過去平均を上回る新規供給が3年続き、そのほとんどが高機能な大型ビル(グレードAビル)であることから、グレードAビルの賃料は伸び率がすでに鈍化傾向にあると指摘。2017年下期以降、向こう3年で15%程度下落すると予想している。一方で新規供給の少ない中型ビルに関心は高まると考えている。
 中型ビル投資の魅力については「中小企業を中心とする安定した賃貸需要」、「新規供給が限定的」、「賃料見通しは比較的堅調」、「大型ビルに比べて高めの利回り」、「流動性の高さ」にあると分析。オフィス系事業所の9割以上が従業員20人未満であり、中型ビルは最も厚い需要層の受け皿になっている他、今後3年間に予定されている新規供給において中型ビル(グレードB)は供給全体の6%(貸床面積ベース)に留まっている。また2012年以降の中型ビルの売買取引件数はオフィス売買全体の17%と大型ビルの取引件数(9%)を上回っている。2012年以降、海外投資家による取得の8割が延床面積7000坪未満のビルであり、コアプラス投資(賃貸収入が主目的であるが売却益などのキャピタルゲインも目的とする)への関心が高まっているため、今後も中型ビルに対する需要は堅調と考えられるという。
デベロッパーも続々参入 新日鉄興和不動産も
 中型ビルでは三菱地所(東京都千代田区)がかねてより「フロント」シリーズを開発しており、ファンドやJリートを出口戦略に見据えた資金回収型のソリューション事業として開発ノウハウを積み上げている。また、中型ビルブランドの代表格としては野村不動産(東京都新宿区)の「PMO」シリーズやサンケイビル(東京都千代田区)の「S―GATE」シリーズが挙げられ、「PMO」シリーズはグループの野村不動産マスターファンド投資法人等が取得している。今後中型ビルマーケットには新日鉄興和不動産(東京都港区)の「BIZCORE」シリーズが参入し、11月竣工予定の「BIZCORE神保町」が第一弾となる。マーケットには投資に適したハイスペックな中型ビルの供給が進んでいきそうだ。

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