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高砂熱学工業がアクセラレータプログラム開始

2017.09.18 11:51

空調設備工事業の枠を超えた新たな価値づくり
 大手企業がベンチャー・スタートアップ企業に対し協業や出資を目的として展開されるアクセラレータプログラム。今年6月には三菱地所が国内の総合不動産デベロッパーとして初となるアクセラレータプログラムを始動させるなど、不動産・建設業界でも徐々に浸透しつつある。そうした中、建築物には欠かせない空調等のエンジニアリング企業・高砂熱学工業(東京都新宿区)がアクセラレータプログラムに参加する企業・個人・チームの募集を開始した。プログラムは設備工事を得意とする同社ならではのエッセンスが垣間見える。

AIやIoTなどを活用 来春の本格事業化目指す
 高砂熱学工業では本年度、事業革新本部を新設。中期経営計画で成長に向けた投資として3年間で350億円を拠出するとしているが、5つ掲げる投資テーマの中にも「新事業の創造推進」が含まれている。今回始動したアクセラレータプログラム「高砂熱学工業アクセラレータ"just move on!"」は、既存の空調設備工事の枠を超えた新たな価値づくりの実現を目指し、同社が推進するオープン・イノベーションの一環として展開されるものだ。今月1日に提案募集が開始され、同11日と来月12日にプログラム説明会を開催。11月の書類選考、12月のプレゼン選考会を経て来年4月を目処に事業化プロジェクトが開始される。
 今回のプログラムでは「建物空間・パーソナル空間」、「地域・インフラ」、「建設現場」の3つの事業領域において、AI(人工知能)やIoT、ロボット技術といった先端技術を活用し、新しい事業やサービスの創出を目指す。同社によれば、選定されたアクセラレータプログラムはアイディアを精査して、事業化に向けた試作や事業計画づくりに着手。この事業化プログラムの期間は3~6カ月程度を想定しており、最終的にはスタートアップ担当者による成果発表が行われ、優れた成果については本格的な事業化に向けた活動を進めるとしている。
 今月11日に開催された第1回のプログラム説明会では約40の企業が参加。新技術を用いて建物内の知的生産性を高める試みや、地方創生、建設現場における作業効率化といった分野で革新的なアイディアがこのプログラムを通じて生み出されることになる。


■三菱地所
 「Corporate Accelerator Program」への参画企業の募集を6月に開始。世界に向けてイノベーションを発信したいベンチャー企業の募集を行っている。支援期間中は選抜企業に対して国内外の成長企業等の交流・活動拠点「EGG JAPAN」内の会員制ビジネスクラブ「東京21cクラブ」などを利用できる権利が付与され、来年3月に共創支援期間の成果発表会が開催される。
■野村ホールディングス
 野村アクセラレータプログラム「VOYAGER(ボイジャー)」の参加企業5社を発表。野村不動産の「ライフスタイルの多様化に対応した暮らしの環境づくり」というテーマに対しては、名古屋大学医学部発のベンチャー企業・PREVENT(名古屋市千種区)が選定された。
■東京急行電鉄
 「東急アクセラレートプログラム」の第3期募集を開始。事業領域は交通・都市開発など10領域。過去2回のプログラムでは累計212のエントリーがあった。

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