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ドリームレイジング 地方創生・地域活性化を軸に起業家をクラウドファンディングで支える

2017.03.20 12:57

プロジェクト成功に向けてプロモーションのサポートも
 働き方の変化や起業家の増加により、小規模オフィスへの需要が高まっている。そのなかで近年、増えてきているのがコワーキングスペースやレンタルオフィス。スタートアップのために従来のオフィスを借りるだけの資金力がない企業にとっての受け皿となっている。
 このような施設の走りとなっているのはインキュベーション施設だ。「インキュベーション」とは英語で卵などが「ふ化する」という意味であり、転じて起業家の育成や新規ビジネスの支援を行うこと。近年では各自治体なども積極的に取り組んでいて、地域振興に貢献する企業の育成をテーマにしているところも多い。これらの施設ではただスペースを用意するだけでなく、インキュベーターとして事業計画書の作成や事業拡大のための相談などを行うスタッフが常駐するところも多い。
 そのなかで現在、このようなスタートアップ企業の事業支援する取り組みがある。全国のコワーキングスペースなどと提携して、スペースを利用する起業家が新規事業の実現に向けて、資金調達とプロモーションをクラウドファンディングシステム「Dream raising」を使って支援しているのがドリームレイジング(東京都千代田区)だ。現在、このシステムで提携しているコワーキングスペースは全国で12カ所。代表取締役の本田恵一氏はこのような取り組みを始めた経緯について「コワーキングスペースの運営者に、より積極的に入居者の事業支援を行いたいと考えている方が多くいます。またスペース利用者でも画期的なアイディアを有しているが、資金面で苦慮しているケースも多くいます。そのような方々のソリューションとして、当社の『Dream raising』が貢献することができるのではないかと考えたのがきっかけです」と話す。
 この「Dream raising」は「地方創生」と「地域活性化」のふたつを軸にした地域密着型のクラウドファンディングサイトだ。これまでもそれぞれの地域やエリアなどの特産物や東日本大震災をきっかけにして活動を始めたミュージシャンのセカンドフルアルバムの製作資金のクラウドファンディングプロジェクトなど、他のクラウドファンディングとは一線を画したプロジェクトを立ち上げてきた。  「クラウドファンディングにも2通りのタイプに分けることができると思います。ひとつはプロジェクトを立ち上げるオーナーに一任するタイプのもの。もうひとつは、サイト運営者が立ち上げるオーナーとプロジェクト、プロモーションなど様々な面でコンサルティングを実施するもの。当社の『Dream raising』は後者のタイプのものとなります」(本田氏)
 そのため同社ではプロジェクトを立ち上げる前には複数回、立ち上げ者と打ち合わせを行い最大の結果を残せる形を目指すという。本田氏は「そのなかでプロジェクトオーナーの意気込みや熱意、本気度も見ることにしています。プロジェクトに懸ける思いがなければ、クラウドファンディングを行っても成功しないと考えているからです」と言う。成功に導くために欠かせない、ひとつのポイントとなるのがリターンの設計。購買型であるため、プロジェクトごとの資金提供者の需要に合わせることが必要となってくる。同社にはマーケティング戦略に長けているスタッフが在籍、プロジェクトオーナー側へのアドバイスを行っている。
 「このような万全のサポート体制ができているため、現時点で当社のプロジェクトの目標額の達成率は9割ほどとなっています。これをどのように判断するかはそれぞれですが、他のクラウドファンディングサイトに比べると相対的に高いほうではないかと考えております」(本田氏)
 同社では今後も全国のコワーキングスペースとの提携を行っていく考えで、「クラウドファンディングを用いて成功プロジェクトの例を増やしていきたい」と本田氏は意気込む。
 需要が増えるコワーキングスペースなどの小規模オフィスだが、資金調達面では歴史の浅い企業にとって壁に当たるケースも多く、そのような企業の支援はスペース運営者側にとっても課題。このようなサービスを活用することで、入居者の更なる飛躍につなげていきたいところだ。

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