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旭化成ホームズ ハウスメーカーが中小ビル市場へ参入

2017.01.02 14:18

1棟200坪強で坪90万円前後を想定
 大手ハウスメーカーが中小ビル市場に参入する。 
 旭化成ホームズ(東京都新宿区)は11月、地上8階建てまで対応できる中高層用ビルディングシステム「へーベルビルズシステム」の販売を開始。都心狭小地にある中小ビルの建替え需要を取り込み、年間受注目標は30億円程度を見込んでいる。
 同社は昭和60年にシステムラーメン構造の3階建て住宅の大臣認定を国内初取得。平成15年に4階建て賃貸専用住宅「FREX4」の販売を開始して以来、4階建て住宅分野においては国内最多レベルの着工数を誇っていた。2年前に5階建て賃貸専用住宅「FREX5」の販売を開始。マーケティング本部企画部の栁澤潔部長は「中高層のメーン市場である4~6階建てのニーズは非常に旺盛であることがわかった。市場拡大が見込めることから8階建てまで可能なヘーベルビルズシステムを開発した」と説明する。
 都心に中小ビルが多数建設されたのはバブル期が中心。現在、築30年が経過し、建替え需要も顕在化してきた。そうした中、中小ビルの建替えは大手ゼネコンにとっては規模が小さく、一般工務店等が在来工法のRC造・S造で建築するのが主流。一方、栁澤部長によると「在来工法の場合は現場の一品生産が多く、施工品質に左右されることも多い。当社が供給してきた工業化手法によるシステム住宅では品質のばらつきが少ない」と説明する。一方、ヘーベルビルズシステムの最大の特長は住宅分野で培った「システムラーメン構造」に他ならない。部材の多くを工場で生産し、施工現場で部材を組み合わせるので、施工期間を大幅に圧縮。多種類の専門工が携わる基礎工事において、鉄筋、機械式継手、鋼製型枠も工業化し、施工技術の差が生まれにくい。
 「工期は同規模のRCと比べると3分の2強までは短縮できると見ている。事業費もかなり抑えられる。品質でこだわったのは耐震性能を担保する柱と梁の接合部。柱と梁を溶接せず、独自開発したボルトで止めるだけ。溶接では実際は期待されている通りの機能が発揮できるかどうかわからない。水漏れや音鳴りの可能性も捨てきれない」(栁澤部長)
 店舗仕様への対応力を高めるため、柱を250角にすることで無柱空間を構築できる。階高は2・8m~3・5mの範囲内で設定可能。また、外壁はALCコンクリート「へーベル」を採用。タイル風の外壁パネルで防水の初期保証期間に関しては20年と業界トップクラス。「へーベルハウスと同等レベルの性能」と、栁澤部長は自信を覗かせる。加えて、耐震性において、制震装置を採用することができるようにもしている。建築費は同社の試算では1棟200坪強で坪90万円前後を想定しており、価格が高騰しているRC造等と比べて価格変動は少ない。受注が増えればさらに価格を下げられるという。

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