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空家・空地管理センター 借り上げ事業が空き家活用のメニューに

2016.09.12 16:25

所有者負担なしでリニューアルできるメリット
 増加する空き家に対し、どのように対処していくか。この課題が表面化して以降、先頭を走ってきた空家・空地管理センター(埼玉県所沢市)では昨年12月より首都圏の空き家戸建てを対象としたサブリース事業「AKARI」を開始している。
 スキームとしては空家・空地管理センターが空き家所有者から空き家の活用に関する相談を受け付け、同センターの協力事業者である北斗ソリューションズ(東京都新宿区)が定期借家契約による借り上げとリフォームを実施し、これまで活用されてこなかった空き家を戸建てや店舗などの賃貸市場に再帰させる。
 「相談者の方は家を相続された高齢者が多いです。管理が行き届かず、だからと言って売却するには忍びなく、リフォームするにしてもそこまでの資金はないという悩みを抱えています。所有者にとって『AKARI』のメリットは、基本的に負担なしで借り上げ期間は固定資産税および都市計画税相当分が収入として入り、期間終了後にはリニューアルされた空き家が手元に戻ってくることです」(代表理事 上田 真一氏)
 上田氏は空き家問題の解決について「様々なニーズに応えるだけのメニューを事業者側が用意し、それを周知していくことが重要」と指摘する。問題解決の突破口を開いていくための特効薬はなく、事業者側が解決策を複数提示していくことにかかっている。
 が、難しさももちろんある。最大のものは空き家の状態がどうなっているかだ。
 「たとえば、雨漏りしている、あるいは貸し出すことを考えた場合、長期的に雨漏りしそうだ、と判断した場合、屋根や外壁の修繕が必要となってきます。そうすると、事業者側は大きな投資が必要となってきます。この事業を成功させていくためには事業者側にとって税引き後の利益が黒字であることです。そのような事情も踏まえて修繕費用を見積もった上で、あまりに大きな投資となる場合には所有者側に対して一部費用の負担を求める場合もあります」(上田氏)
 所有者と事業者が双方にとって利のある状況を実現して初めて空き家の利活用を恒久的に行っていくことが可能となる。同センターでは投資金額に応じて3年~7年の借り上げ期間になっている。満室になることが当然の目標だが上田氏は「たとえば借り上げ期間が残り1年に迫って、賃借人が退去した場合のことも考えた物件活用を検討していく必要があると思います」と事業を進めるにあたってのリスクヘッジの策も必要とする。
 同センターで取り扱う物件は東京および埼玉エリアとなるが今後、全国各地の提携事業者や同様のサービスを行っている事業者と連携して拡大していくことも検討するという。
 増える空き家の利活用に向けて道が開けてきている。

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