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WALL 建築写真の撮影を共同で

2016.05.30 12:36

コストを抑え、事業者は無料で写真を使用可能
 オフィス空間のデザインや使い勝手にこだわりを見せる企業が増えている。狙いは優秀な人材を確保すること。「快適性かつデザイン性の高い最先端のオフィスで働ける」。こうした執務空間が宣伝ツールとして機能しているのが現状だ。
 オシャレな執務空間をきれいな写真に残すためには、建築物の写真撮影に通じたプロのカメラマンを起用するのが近道だ。しかし、撮影コストは非常に高額。1カット数万円、1回の撮影に50万円以上の費用がかかるとされ、その反面、撮影コストが安いカメラマンは、写真の品質が低いことも少なくない。
 一方、オフィス・店舗開発に携わった設計者・メーカー・施工会社等も「業務実績」として竣工写真を広く周知することを希望する。こうした工事関係者にしてみても撮影コストの負担は大きく、なおかつ設備を納入しただけのメーカー等は仮に撮影するにしても設計会社経由でオーナーに許可を得る必要がある。結局、竣工写真は自社スタッフが撮影する等、不満を抱えることになる。
 こうした潜在的な課題に対して、ひとつの解決策を提示したのが総合建築メディアウェブサービス「WALL」の企画・運営を手掛けるWALL(東京都目黒区)。今月23日、建築写真共同撮影サービス「Recordy(レコーディ)」の運営を開始したのである。代表取締役社長を務める白木航氏は同サービスの特長について「プロジェクトに携わった企業のうち最低3社が賛同すれば共同で建築・竣工写真を撮影することが可能になる」と説明する。専用ウェブに登録し、撮影対象を決定。撮影賛同者は1社5万円を負担し、3社が賛同すれば、最低6カット分をプロのカメラマンに撮影してもらうことができる。賛同者は高品質の写真を何度でも利用でき、事業主も無料で写真を使用することができるのだ。
 ある企業のオフィスにおける2枚の施工写真を例にすると、設計士をはじめ、照明メーカー、壁面石材メーカー、家具メーカー、床材メーカー等、たった2枚の施工写真であっても合計12社が関わっており、より多くの企業が参画することで撮影コストの負担を大幅に軽減することを可能にしている。
 オフィスや店舗の事業主をターゲットにしているが、白木氏は「ビルオーナー・PMにも十分なメリットがある」と自信を覗かせる。ビルオーナー・PMの場合、外装やエントランスをリニューアルした際、同サービスによって施工会社等に参画してもらえば無料で写真撮影でき、マイソクや物件紹介サイトに掲載することができる。ウェブ経由で物件探しをするテナントは非常に多く、ビルの見た目は非常に重要。いい写真でアピールできる画期的な解決方法といえそうだ。

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