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清水建設 中小規模オフィス向けの天井輻射空調システムを開発

2016.02.29 17:02

 清水建設(東京都中央区)は、建築物のZEB化に有効な空調技術として、省エネ性と快適性に優れる輻射の効果を生かした中小規模オフィス向けの天井輻射空調システム「S―ラジシステム ライト」を開発。3月に竣工予定の四国支店新社屋に初適用する。
 「S―ラジシステム ライト」は天井輻射パネル方式とは異なり、天井内部の冷却装置(チルドビーム)で生成した冷気の自然対流を利用して天井面を冷却。天井面の金属製有孔パネルから室内側へ染み出す冷気も併せて空調に利用する輻射空調システム。同システムでは、チルドビームを天井面積30~50㎡に1台の割合で配置することで、中小規模のオフィスに対応できる最大60W/㎡程度の冷房能力を実現する。
 同システムは送風機等の空気搬送動力が不要なため、一般的な対流式の空調システムと比べて消費エネルギーを大幅に低減ができる。また、空気のドラフトによる不快感がないため室内環境の快適性が高まるメリットもある。加えて、冷却コイルに必要な冷水温度が一般的な空調方式(7度)よりも高い(16度程度)ため、冷凍機等の熱源消費エネルギーも削減できる。冷水の生成に地中熱などの自然エネルギーを利用することで消費エネルギーのさらなる削減効果が見込める。
 コスト面に関しては、冷却部を天井面から分離・集約化したことで、天井輻射パネル方式と比べ、ローコスト化を実現。一般的なセントラル空調方式に代えて同システムを採用した場合の追加コストは建設費全体の2%程度に留まる。同社は今後、中小規模オフィスのZEB化にも貢献する技術として、他の省エネ技術と共に提案活動に注力していく。

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