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積水ハウス 日本初マイクログリッドによる「東松山スマート防災エコタウン」

2015.03.16 10:46

 宮城県東松島市と積水ハウス(大阪市北区)は、東松島市が同市柳の目北地区で平成27年8月入居を目指し整備をしている災害公営住宅と周辺の病院等を結ぶマイクログリッド(既存の発電所からの電力に依存しない、エネルギー供給源と消費施設をもつ小規模なエネルギー・ネットワーク)により電力供給する本格的スマートタウンを実現する。なお、同タウンは戸建住宅を含め、敷地を越えてエネルギー相互融通を行う日本初のスマートグリッド(スマートメーター等の通信・制御機能を活用して停電防止や送電調整のほか多様な電力契約の実現を可能にした電力網)となる。
 東松島市は、東日本大震災からの復興計画で、安心して暮らせる災害に強いまちづくりや「環境未来都市」構想を掲げて、復興に取り組んでいる。また、積水ハウスでは環境配慮型住宅「グリーンファースト」やこれらが集まったまち「スマートコモンシティ」などの取り組みを推進している。
 「東松島スマート防災エコタウン」では、災害公営住宅85戸(戸建住宅70戸、集合住宅15戸)と周辺の病院、公共施設等を結ぶ自営線によるマイクログリッドを構築し、太陽光発電470kWを持つ自営線特定規模電気事業者(自営線PPS「自ら敷設した電線で電力供給する一般電気事業者以外の電気事業者」)がCEMS(Community Energy Management System)により最適制御しながら電力供給を行う。太陽光発電で年間256t―CO2の二酸化炭素排出を削減し、エリア内でのエネルギーの地産地消を実現する。不足する電力は、東松島市内にある低炭素型電源から既存電力網を利用して供給することで、地域全体の地産地消も可能となる。
 系統電力が遮断した場合にも、同タウン系統内の太陽光発電を蓄電池を用いて安定化させ、大型のバイオディーゼル発電機と組み合わせ3日間は通常の電力供給が可能だ。大震災のような長期の停電時にも、太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで病院や集会所などへの最低限の電力供給の継続が可能。
 同市は、「復興まちづくり計画リーディングプロジェクト」において、分散型地域エネルギー自立都市を掲げており、平成23年12月には内閣総理大臣より「環境未来都市(全国11都市)」に選定された。この事業は復興まちづくり計画、環境未来都市構想の一環として、環境省の「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」の補助金を受けた事業で、エネルギーの地産地消・防災力向上の先導的な取り組みであり、「環境未来都市 東松島モデル」としての展開が期待される。

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