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中村屋/三井不動産 生まれ変わった新宿の「老舗」ビル

2014.11.03 13:02

 新宿の歴史を彩った「老舗」ビルが生まれ変わる。
 中村屋(東京都新宿区)と三井不動産(東京都中央区)が「新宿」駅東口で開発を進めていた「新宿中村屋ビル」が先月29日に開業を迎えた。三井不動産は事業主である中村屋から委託を受け、デベロップメントマネジャーとして開発計画の立案、設計・施工管理、テナント誘致等を担当。竣工後は中村屋以外の店舗へのマスターリースと施設運営管理を行う。
 東京・本郷でパン屋として明治34年に創業した中村屋は明治42年に新宿の現在地に移転。新宿に移転してから和菓子・洋菓子の製造・販売、昭和2年には喫茶部(レストラン)を開設。インド独立運動の志士、ラス・ビハリ・ボースとの出会いにより日本で初めて印度式カリーの販売を開始したのは有名だ。昭和8年に店舗裏に地上3階建てのビルが竣工。戦火で焼失したものの昭和33年の地下鉄丸ノ内線開業にあわせて地上6階地下2階のビルへ改修した。これが旧本店ビルである。同社によると築45年が経過する頃から建替えが課題となっており「新宿の街にとってより価値のある存在にしたい」との想いから建替えを計画。平成23年1月から解体工事をスタートさせた。工事は順調に進み、今年9月に「新宿中村屋ビル」が竣工。同社が新宿に拠点を構えてから実に105年が経過していた。
 新たに誕生したビルは地上8階地下2階、延床面積約6400㎡。コーポレートカラーの「ぶどう酒」色と天然石の外壁素材で構成され、同社の企業イメージを表現している。また、地下鉄「新宿」駅と直結している。
 テナント構成は商業中心。同社直営のレストラン、カフェ、スイーツ・デリカ店が8階フロアと地下1、2階に入居する他、アパレルブランド「COACH」の国内初の新コンセプト店舗をはじめ、飲食やサロン等8つのテナントが入居。さらに同社にゆかりの深いアート作品等を展示する「中村屋サロン美術館」を3階に構える。美術館は創業者の相馬愛蔵・黒光夫妻の元に集った芸術家たちの作品やエピソードを紹介する予定だ。

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