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清水建設 省エネ専門サイト開設 中規模ビルの省エネを啓蒙

2014.03.17 11:17

コスト・効果が一目でわかるシミュレーター搭載
 中規模ビルの省エネ化に大手ゼネコンが積極的に取り組む。
 清水建設(東京都中央区)は2月24日から省エネリニューアル専門サイト「省エネバリュープラス」を公開した。
 「主要デベロッパー等が保有する大規模ビルでは、すでに省エネ対策が進んでいますが、いわゆる個人オーナーなどが所有する延床面積1万m2以下の物件では、リニューアルに関する情報不足により省エネ改修の計画が遅れており、サイトによる情報提供を通じて省エネリニューアルの需要喚起が目的です」(ビルライフケアセンター 主査 多川 勝之氏)
 工場や運輸部門ではエネルギー使用量は年々低下している一方、オフィスビルを含む民生分野ではエネルギー使用量が増加傾向を辿っている。これを受けて行政を中心に省エネ化を推進させる施策を打ち出されてきたが、ビルオーナーを動かすまでには至っていない。その理由は多川氏が指摘する通り「情報不足」が障害になっている。例えば、ビルの省エネ対策ではLED化や高効率空調への更新、窓周りの改修といった項目別の対策は一覧化されているが、どの程度の効果・費用負担があり、実際にどのような内容なのか確認することができなかった。そうした反省点を踏まえた上で同サイトが開設されたわけだが、最大の特徴は「省エネシミュレーター」を活用することで省エネリニューアル時の効果と費用を試算することが可能になった点だ。
 使い方は非常にシンプルで、まずは建物規模(3000㎡、5000㎡、1万㎡)、建物仕様用途(オフィス、病院、物販・店舗)、空調方式(セントラル、パッケージ)をそれぞれ選択。次に最大40種類表示される省エネメニューの中から導入を検討するメニューを選択していくと、省エネ率と概略費用の合算値が表示される仕組みになっている。例えば、LED照明とHfインバータ照明のどちらを導入したほうが省エネ率が高いのか、さらに、LED照明と組み合わせて全熱交換機を導入したほうがいいのか、それとも高効率パッケージ形空調を導入したほうがいいのか、様々な省エネメニューの組み合わせの効果とコストを把握できるので、具体的な省エネリニューアルの検討材料になる。
 「省エネメニューは『設備別、運用・更新、省エネレベル別』で表示でき、さらに図解入りで詳細な解説文があるため、省エネに詳しくない方にも分かりやすい内容にしました。また、当社が手がけた省エネ改修事例をはじめ、省エネ基礎知識も紹介しています」(多川氏)
 また、同サイトでは希望者に対して無料で「省エネ簡易診断」を受け付けており、同社の施工物件以外のビルも対象となる。
 建築費が高騰し、これからの時代は建て替えよりもリニューアル需要が高まる事が予想されるが、同社は平成22年に発表した中期経営計画で、国内建築受注に占める改修工事部門の受注比率を25%まで高めることを目標にしており、当サイトを開設することで「眠れる宝の山」となっている中規模ビルの省エネリニューアル工事の受注を増やすことも狙いとなる。

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